【新型コロナ】緊急事態宣言解除、神奈川の道筋は 累積感染者、全国3位

 政府は14日にも見込まれる緊急事態宣言の一部解除に向け、判断基準の作成を急いでいる。神奈川県は累積の感染者数が全国3位と高水準だが、新規感染者数が10人を下回る日も出てきた。一定の日常生活を取り戻せるのはいつか、ポイントを探った。

宣言解除の数値基準について、政府は▽直近2~3週間の累積感染者数▽経路不明感染者の割合▽PCR検査を含む医療提供体制▽近隣都道府県の感染状況─を踏まえてまとめる方針。感染者数は、6日時点で新規ゼロが1週間続いた都道府県は「解除が視野に入ってくる」(西村康稔経済再生担当相)という。週単位で見るのは曜日によって検査数にばらつきがあるためだ。

 政府専門家会議の3日時点のまとめによると、県内の1週間以内の感染者は118人。東京都、北海道、大阪府に次いで全国4番目に多い。ただ、4日以降の新規感染者数は日々10人前後のペースで推移する。

 感染経路不明の割合は、少なければ感染拡大を防げるとし、政府内では「少なくとも40%以下」(西村氏)などが検討されている。県内は7日30%、8日42%、9日25%(いずれも発表時)。まずは週単位で新規感染者数の減少傾向を維持できるかが鍵だ。

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 PCR検査の拡充も求められている。検査数が少なければ感染状況を正確に把握できない。広範に検査して陽性率が7%以下の国は致死率が低いという研究結果もある。

 専門家会議の分析では、全国の10万人当たりの検査実施数は188件で、陽性率は5.8%。これに対し県が公表する県内の陽性率は、4月28日~5月7日の平均で7.3%だった。期間などは異なるものの、単純に比較すると全国平均より高い。

 一方、政府は医療提供体制について、第2波に備えて重症者の受け入れ体制の整備状況などを考慮するが、具体的にどのような指標で判断するかは決まっていない。背景には、現場の実情のリアルタイムでの把握が難しい点がある。

 例えば、政府は全国の病院(20床以上)を対象に日々の状況をウェブなどで確認しているが、県内でも3割が未回答。専門家会議メンバーの岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は「現場の実態把握は極めて重要だ」と述べ、協力を呼び掛ける。

 新規感染者数が減っても、医療機関の負担は長期に及ぶため、正確な実態把握は欠かせない。

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 神奈川は感染者が全国で最も多い東京に隣接しており、都の推移も判断に影響を及ぼしそうだ。宣言解除には、未解除地域からの感染流入の危険性なども考慮される。政府関係者は「首都圏の場合、東京以外の3県だけ解除するのは難しいのでは」と話している。

【政府が検討中の解除基準】

◇直近2~3週間の累積感染者数

◇感染経路不明の感染者の割合

◇PCR検査を含む医療提供体制

◇近隣都道府県の感染状況

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