メジャー17年で107勝 14球団でプレーしたジャクソン

長いキャリアを1つのチームで全うするのは特別なことである。近年ではカル・リプケンJr.(オリオールズ)、トニー・グウィン(パドレス)、チッパー・ジョーンズ(ブレーブス)、デレク・ジーター(ヤンキース)らがその代表例と言えるだろう。一方、その対極とも言えるキャリアを過ごしている選手も存在する。その代表格が17年のメジャー生活で歴代最多となる14球団でプレーしてきたエドウィン・ジャクソン(ダイヤモンドバックス)だ。

2003年9月9日、20歳の誕生日にドジャースでメジャーデビューを果たしたジャクソンは、2006年1月にデビルレイズ(現レイズ)へトレードされ、その後も2008年12月にレイズからタイガース、2009年12月にタイガースからダイヤモンドバックス(ヤンキースを含む三角トレード)、2010年7月にダイヤモンドバックスからホワイトソックスと毎年のようにトレードを経験。2011年7月にはホワイトソックスからブルージェイズへトレードされ、1試合もブルージェイズでプレーしないまま、その日のうちにカージナルスへ再トレードされた。

2011年オフにフリーエージェントとなったあとは、ナショナルズ、カブス、ブレーブス、マーリンズ、パドレス、オリオールズ、ナショナルズ(2度目)、アスレチックスと移籍を繰り返し、昨年5月には金銭トレードでアスレチックスからブルージェイズへ移籍。ブルージェイズで初めて登板したことにより「異なる14球団でプレー」というメジャー新記録を樹立した。その後、古巣のタイガースへ戻り、現在はこれまた古巣のダイヤモンドバックスとマイナー契約を結んでいる。

チームを代表する「フランチャイズ・プレーヤー」として活躍することは、もちろん多くのメジャーリーガーの目標であるが、移籍を繰り返すのは多くのチームから必要とされている証でもある。ジャクソンは2008年から2012年まで5年連続で2ケタ勝利をマークするなど通算107勝を挙げており、アスレチックスでプレーした2018年には17先発で6勝3敗、防御率3.33と存在感を発揮。すでに36歳となったジャクソンだが、先発投手の頭数が不足しているチームにとっては貴重な戦力なのだ。

ちなみに、ジャクソンが更新するまでメジャー記録を保持していたのは、1999年から2013年にかけて13球団でプレーしたリリーフ右腕のオクタビオ・ドテル。通算141勝の右腕マイク・モーガン、通算61勝の左腕ロン・ビローン、通算265本塁打のマット・ステアーズ(元中日)の3人は12球団でプレーしている。

ここ数年の選手では、通算247勝のバートロ・コロンが2018年に自身11球団目となるレンジャーズでプレーしたのを最後にメジャーの舞台から離れており、通算327セーブのフェルナンド・ロドニーが昨年ナショナルズでプレーして自身11球団目となった。現在フリーエージェントのロドニーだが、すでに43歳という年齢を考えると、ジャクソンの記録を更新するのは難しいかもしれない。また、タイラー・クリッパード(ツインズ)は昨年まで9球団でプレーし、今年は自身10球団目となるツインズと契約。こちらはまだ35歳であり、記録更新のチャンスはありそうだ。

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