【新型コロナ】みなとみらいに開業した期待の施設、開館と同時に休館中 関係者「ただただ、残念」

コロナ禍で、4月の開業と同時に臨時休館している「パシフィコ横浜ノース」(横浜国際平和会議場提供)

 横浜・みなとみらい21(MM21)地区に4月24日に開業した複合MICE(国際会議などの総称)施設「パシフィコ横浜ノース」が、新型コロナウイルスの感染拡大で、オープンと同時に臨時休館に追い込まれた。国内最大規模の多目的ホールを備え、観光・MICEを掲げる横浜市の成長戦略の鍵を握る存在だが、稼働時期すら見通せていない。想定外の事態に、関係者は「ただただ、残念」と口をそろえる。

 パシフィコ横浜ノースは、「パシフィコ横浜」に隣接するMM21地区の20街区に整備された。

 1991年に開業したパシフィコ横浜は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議やアフリカ開発会議(TICAD)などの開催実績を持つ。日本政府観光局の2018年の統計で、国際会議の開催件数、参加者総数ともトップになるなど、国内有数のMICE施設に成長した。

 国際会議は経済効果や地域の活性化などのメリットが見込めるため、誘致を巡る都市間競争は年々、激しさを増している。ただパシフィコ横浜はその人気が故に、稼働率は限界に近く、問い合わせがあっても断らざるを得ないケースも多い。そこで市は需要を十分に取り込み、さらなる成長につなげるため、隣接地に新施設整備を計画。誕生したのがノースだ。

 整備手法は、民間資金を活用する「PFI方式」を採用。市と運営事業者「横浜国際平和会議場」が、40年3月末までの契約を締結した。市が維持管理費を含む整備費約383億円を負担する一方、同社が計約91億円の運営権を市に支払う内容だ。

 ノースは開業前から注目を集めた。最多で140件の予約を数え、3年後のものもあったという。だが、新型コロナウイルスで事態は一変した。

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