近隣養豚場は異常なし 豚熱県内初確認で立ち入り検査

 相模原市緑区の山中で豚熱(CSF)に感染した野生イノシシが県内で初めて確認されたことを受け、神奈川県は12日、発見場所から半径10キロ圏内にある同区内の養豚場1施設に家畜伝染病予防法に基づく立ち入り検査を実施した。飼育している豚の体調や野生動物の侵入を防ぐための防護柵の設置状況などを調べた結果、異常は確認されなかった。

 野生イノシシの死骸は9日午前、同区佐野川の山中で見つかった。成獣の雄で、体長約1メートル。10日に県の遺伝子検査で陽性と判定され、11日に国の精密検査で感染が確定した。

 この日の立ち入り検査は獣医師免許を持つ県職員1人が現地を訪れ、経営者への聞き取りや飼育豚に感染した際に出る症状がないかを確認。施設の出入り口や飼育小屋の通路などの消毒態勢も見て回った。

 県畜産課によると、県内には養豚農家が約60軒あり、豚約6万8千頭が飼育されている。昨年12月、国のワクチン接種推奨地域に指定されて以降、全ての養豚場を対象に飼育豚へのワクチン接種を実施している。

 12日の定例会見で、黒岩祐治知事は「全頭を対象にしたワクチン接種によって養豚場に感染が拡大する恐れはない。水際作戦が功を奏しており、今後も防疫対策を徹底していく」と自信を見せた。

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