笑顔だけではなく

 例えば、本紙の情報アラカルト面に限っても変化が見られる。各地のイベント情報を載せているコーナーが新型ウイルスの影響で、しばらくは「中止のお知らせ」ばかりになった▲ごく最近、公的な施設の「利用再開」の告知が載って、いくらかほっとする。緊急事態宣言は全国で続いているが、本県などでは「自粛」「休業」から「再開」へとじわじわ移りつつある▲たぶん紙面から笑顔の写真がぐんと減っている中で、これもまた一つの変化だろう。きのうの本紙の1面を、登校する児童の笑顔の写真が飾っている。20日ほど休校が続いた多くの公立小中学校、高校が再開した▲笑顔が戻った学校には、難儀することも山とある。高校ではしばらく分散登校をしたりと、感染予防に気が抜けない。学習の遅れをどう取り戻すか、これからが正念場になる▲土曜日も授業をする、夏休みを短縮する-と、文部科学省は“急ぎ足”を促すが、子どもの体力はもつのかどうか。先生は働き過ぎに拍車がかからないか。休校の埋め合わせは、たやすくはあるまい▲「9月入学」案について、文科省は6月に一定の方向性を示す。遅れを取り戻そうと構える側には大いに気掛かりだろう。笑顔もあれば、焦り顔も、先を案じる顔もある。教育現場の表情は、過去になく複雑に違いない。(徹)

 


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