「アビガン」など治療薬候補の審査、治験成績なしでも可 厚労省見解

厚生労働省は12日、「アビガン」など新型コロナウイルス感染症の治療薬候補の早期実用化のため、治験の成績について薬事承認を受けた後に企業が提出することも可能とする方針を正式にまとめ、担当課長名で通知を発出した。

「アビガン」今月中承認に道筋

同省は、富士フイルム富山化学が開発した治療薬候補「アビガン」について5月中の承認を目指しているが、現在、国内で実施されている治療は「観察研究」と類型されるもので薬事承認の条件を満たしていない。またアビガンは新型インフルエンザ(SARS)の治療薬として承認される際、胎児に奇形が生じる副作用が認められ懸念されている。

しかし現下の状況を鑑み同省としては、アビガンについては観察研究とはいえこれまで3千例近くの症例データが集まっており、安全性の評価は可能だとする見解に舵を切る。早期の事態収束をはかるため、治療手段の確保を優先したかたちだ。

なお今回の通知によれば、対象はアビガンに限らず「公的な研究を実施している全般」としており、現在候補として名前の上がっている「ナファモスタット」「イベルメクチン」について現在各機関が行なっている臨床研究、治験も対象になるとみられる。

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