【新型コロナウイルス関連】2020年4月「アパレル関連小売業」倒産状況

 2020年4月の「アパレル関連小売業(以下、アパレル関連業)」倒産は、24件(前年同月比41.1%増)で1月、2月の各17件を上回り、今年最多となった。1‐4月累計は69件で、3年ぶりに前年を上回った2019年(236件、前年比18.5%増)と同水準のペースで推移している。
 また、4月の負債総額は80億7,500万円(前年同月比611.4%増)で、キャスキッドソンジャパン(株)(負債65億円、東京)の大型倒産が押し上げ、前年同月の7.1倍に拡大した。
 アパレル関連業は、競合激化や低価格化に伴う長期低迷に加え、2019年10月の消費増税や暖冬による重衣料の販売不振に見舞われた。さらに、厳しい経営が続く中で、新型コロナウイルスが直撃した。インバウンド需要の消失、感染防止のための外出自粛や店舗の臨時休業で3月、4月の売上が大きく減少し、先行きのめどが立たず破たんに追い込まれたケースが急増した。
 すでに春・夏物商戦が始まっているが、GW期間中の外出自粛要請や緊急事態宣言の延長で、都市圏を中心に、休業や短縮営業を続ける店舗が多く、5月の店舗売上もままならない状況だ。
 こうしたなか、対面接客のないEC販売は好調で頼みの綱といえるが、投資や人材確保の面から企業規模や資金力で格差が生じている。このため、不振が続く企業や経営体力の乏しい小規模事業者ほど劣勢から抜け出すことが難しくなっている。
 新型コロナによる個人消費の落ち込みが、早急に回復することは難しくなっている。このまま4月の水準で推移すると、アパレル関連業の倒産は2年連続の前年を上回る可能性が高い。

  • ※本調査は、日本産業分類(小分類)の「織物・衣服・身の回り品小売業」を、「アパレル関連小売業」と定義し、集計した。
アパレル関連小売業倒産推移

「新型コロナ」関連破たん 4月に10件発生、業種別では3番目の多さ

 アパレル関連業の「新型コロナ」関連破たん(弁護士一任・法的準備中などを含む)は、2月以降、5月11日までに累計13件(倒産5件、準備中8件)発生した。全体(132件)の約1割(構成比9.8%)をアパレル関連業が占め、業種別では宿泊業29件、飲食業19件に次ぐ、3番目の多さとなっている。
 アパレル関連業の「新型コロナ」関連破たんは、4月以降に倒産が4件、準備中が6件発生している。国内で「新型コロナ」感染拡大が広まった2月下旬以降、売上が急激に落ち込み、手持資金が枯渇した企業の息切れが顕在化している。
 3月に(株)シティーヒル(TSR企業コード:570989965、民事再生、負債50億円)、4月にキャスキッドソンジャパン(株)(TSR企業コード:013146645、破産、同65億円)と、全国展開する中堅以上でも倒産が発生。集客減による売上の落ち込みが深刻化するなか、今後も長期の不振に喘ぐ企業を中心に、動向が注目される。

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