TCRオーストラリア:6月開幕戦は再延期。ルノーのモファットはBoPテスト参加計画を告白

 2019年創設で2年目のシーズンを迎えるTCRオーストラリア・シリーズは、当初6月12~14日に開催予定だった“ザ・ベンド”ことベンド・モータースポーツパークでの1戦を延期することを決定。またシリーズレギュラーとして参戦中のジェームス・モファットは、TCRのBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)テストに参加予定だったことも明かしている。

 Motorsport Australiaのディレクターを務めるマイケル・スミスは、地元メディアの『Speedcafe.com.』に対して、今回の措置を次のように説明している。

「残念ながら、現在の状況とオーストラリア全土で実施中の移動制限のため、6月のベンド・ラウンドを延期する必要があった。2020年のTCRオーストラリアを含む、我々の統括下にある全カテゴリーのカレンダーは、近い将来“Return To Race”の概要に則り、戦略全体の一環として改訂版がリリースできることを願っている」

 ARG(Australian Racing Group)とともにTCRやS5000、V8ツーリングなどの参戦ドライバー向けとなるeスポーツ・シリーズ『ARG eSport Cup』を開催しているMotorsport Australiaは、この5月11日付でモータースポーツ再開に向けた活動戦略“Return To Raceドキュメント”を発表。

 オーストラリア連邦政府の方針に則して、スポーツとレクリエーション活動再開に関する国家原則に基づいた詳細な戦略が策定され、現状の衛生環境を鑑みた無観客イベントの奨励と、ソーシャルディスタンシングの遵守、マスクや消毒液など衛生用品のイベント内提供など多くの内容が含まれている。

2020年に2年目のシーズンを迎えたTCRオーストラリア・シリーズ。F1併催のカップ線やバサーストも組み込まれていた

 その諸条件に則して開催延期を決めたベンドだが、これにより3月開幕予定だった当初カレンダーのシドニー・モータースポーツパーク、ウィントン・モーターレースウェイ、そしてバサーストのマウントパノラマに続く4戦がキャンセルに。これで現状の暫定的な開幕イベントは7月2~5日のモーガンパークが予定されている。

 一方、2019年からシリーズレギュラーとして参戦するGRM(Garry Rogers Motorsport)のジェームス・モファットは、2020年の開幕直前にスペインで実施予定だった年次BoPテストに参加する予定だったことを明かした。

「僕はそのBoPテストでルノー・メガーヌR.S.TCRをドライブする予定だったんだ。でもCOVID-19(新型コロナウイルス)パンデミックの影響で、それが実現することはなかったよ」

 2020年シーズンに向けて引き続き2台のルノー・メガーヌR.S.TCRを投入し、モファットに加えてディラン・オキーフを起用したGRMだったが、その他にもバルボリンGRMレーシングとして元VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーでニッサン陣営に所属したマイケル・カルーソとジョーダン・コックスにアルファロメオ・ジュリエッタ・ヴェローチェTCRを託し、さらに20歳のアーロン・キャメロンと2000年のバサースト1000勝者、ジェイソン・バルグワナにはプジョー308TCRをスタンバイするなど、大規模物量作戦でシリーズに挑む計画だった。

 このシーズンから、GRMはルノー・メガーヌR.S.TCRを設計・製造するVukovic Motorsportとも公式パートナー契約を結んでおり、年初にはWTCR世界ツーリングカー・カップへの将来的な参戦可能性も示唆していた。

GRMで2年目のシーズンを迎えるジェームス・モファットは、ルノー・メガーヌR.S.TCRでBoPテストに参加予定だった

© 株式会社三栄