《コロナと向き合う (12)》3年生救済 代替模索 県高校体育連盟会長・高坂和之さん

 新型コロナウイルス感染拡大は高校スポーツ界にとって激震となった。群馬県内の県立高校は3月から部活動自粛が続き、春の県高校総体や夏の全国高校総体(インターハイ)の中止が決定。3年生の集大成の大会が次々になくなる異例の事態に、県高校体育連盟(県高体連)の高坂和之会長(58)は、生徒の安全を第一とした上で代替の場を模索するとしている。

―県高校総体中止を決めた理由は。
 県のイベント自粛要請や休校が続いたことが要因。開催の方向も検討したが、会場の確保さえ難しい状況だった。室内や屋外、接触の有無など競技ごとに違いがあり、それぞれに適した感染対策を示す時間もなかった。生徒や関係者の無念さは計り知れず、苦しい判断だった。特に3年生の心情を思うと、胸が痛い。

―インターハイ中止を決めた全国高体連は各都道府県連盟に、3年生の救済策の検討を要望している。
 まだ一度もユニホームを着ていない3年生もいるだろう。そのまま引退にならないよう、感染収束や生徒の安全を前提に、何らかの形で部活動の成果を発表する場を設定できないか検討している。代替の場を設けるには、学校、部活動の再開と順を追わなければならないが、競技専門部の意見を集め始めている。

 大会か、1試合のみ対戦する形にとどめるのかなど規模や手法について、各競技の性質や人口を考慮しなければならない。秋冬に本番を控える競技は、その大会を無事に開催できるよう最善を尽くしたい。

―萩生田光一文部科学相も「文科大臣杯のような記録会を開きたい」とし、大学のスポーツ選抜の評価に生かす考えを示した。
 国の後押しはありがたい。冬場で力を付けた選手にとって夏までの大会中止は進路への影響が大きく、成績を残す機会が求められている。ただ、力を発揮するには、少なくとも部活動再開後1カ月は練習期間が必要になるのではないか。

―部活動自粛の影響は。
 生徒は十分に体を動かせていないので、再開時にけがや熱中症のリスクが高まる。特に1年生は高校受験で1年近く運動から離れている場合もあり、注意が必要だ。休校中で1年生が入部できず、各部の編成がままならない問題もある。このような状況で入部するか迷う生徒もいるだろう。

 部活動の目的を競技力向上だけとせず、仲間づくりや自身の新たな可能性を広げることなど幅広く捉え、自分に合った取り組みを探してほしい。

 たかさか・かずゆき 1962年3月生まれ。前橋南高教頭、下仁田高校長を経て、2019年4月から現職(前橋商高校長)。中央高―筑波大卒。全国高体連副会長。高崎市。

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