差別は教育でなくせる?カンニング竹山「同和教育は自分の差別意識なくした」

ABEMAが、ニュース番組『ABEMA Prime』を平日夜9時より毎日生放送している。

2020年5月11日(月)夜9時からの放送では、新型コロナウイルスの感染防止のため、スタジオ出演者の間にアクリル板を設置し、番組MCを務めるお笑い芸人のカンニング竹山、進行を務めるテレビ朝日の平石直之、佐藤ちひろ両アナウンサー以外のコメンテーターが自宅や職場から“テレワーク”で出演した。

番組では、日本赤十字社が制作した新型コロナウイルスへの恐怖心によって偏見や差別が社会に蔓延することへ警鐘を鳴らす動画を取り上げ、インターネット上の言われなき誹謗中傷や、実際に差別を受けた方々の話を基に、「教育で差別は無くせるのか?」をテーマに議論した。

竹山は「人間という動物はどうしても自分が1番大事だから、生きている限り“差別”を生み出すと思うんですよね」と切り出すと続けて「僕は福岡の小学校に行っていて。後で気付いたんだけど、そこは小学校3・4年生ぐらいから様々な同和教育があって色んなことを学んだんです。でも、上京して色んな友達と話してみると、被差別部落の問題さえ知らない人がいっぱい居たのでびっくりしたんです。僕は、差別意識を無くすのに、同和教育は良かったんじゃないかと思っているけど、それに対して『余計な教育してんじゃねえ』っていう反対する意見も今はあるので。ただ僕は子供時代の同和教育によって、大人になっても差別する人に『それは違う』とちゃんと言えるようになったと感じている。だから、もしこの差別問題を大人になった後で、知っていたらねじ曲がった形で捉えたような気がするから、個人的にはこの教育は必要だと思う」と自身の経験をもとに、話した。

また、コロナ差別の事例として、感染者が出た大学の学生に対し入店禁止やアルバイトを解雇する“人間的差別”や、医療従事者の家族に対し登園拒否や出勤停止などを行う“職業差別”などが挙げられると、テレビや新聞などメディアによる差別表現を40年以上検証する部落運動家でにんげん出版代表の小林健治氏は「びっくりするような事態が起こっている」と発言。小林氏は、「日本ではハンセン病やHIVの患者に対する差別が根深く残ってしまっていることについて、国として深い反省が最近なされたばかり。それにも関わらず、コロナ感染者、あるいは、医療従事者やその家族に対する差別がネットを見るまでもなく蔓延してますよね。これは一体どういう事なんだと。日本という国の社会意識が、ひとつの感染症を通して浮かび上がってきた」と苦言を呈した。

これを受けて、レギュラーコメンテーターの堀潤は、「ドイツ・ベルリンに行くと、中心街に自分たちの歴史を省みる資料館があるんですね。かつてのナチスの秘密警察の本部が資料館になっているんですけど。そこに来る人たちが学ぶべき内容を見ていて思うのは、『私も“差別をする側”に回る可能性があるんだ』ということ。他にもアメリカ・カルフォルニアのマンザナー強制収容所っていう、日系人が強制収容された跡地があるんですけど、そこのテーマも『なぜ私たちが日系人を差別したのか?』なんです。名もなきいち市民だと思っていた私が何か苦境に立たされた時、不満を持った時、潜在意識に働きかけた時に、『“差別する側”に回るんだ』っていう自らの加害性について学ぶ場所があることが大切だと、そこに行って初めて思った。ところが日本は、色んなテーマについて“私自身が差別の境界線に立った時にどうするか”という文脈できちんと学びができる場所がまだまだ限られているように感じる」と指摘した。

また、堀や小林氏の意見を聞いていたレギュラーコメンテーターで幻冬舎の編集者・箕輪厚介は、「出版社として編集するとか本を出すときに1番重要視するのは“差別用語”。これが入っていると、全回収になって謝罪しなきゃいけないっていう極めて重いこと。差別用語を入れることだけは“やばいぞ”という認識は編集者も校閲も認識している。だから、堀さんが“教育と差別”っていう問題は本当に正しいと思う。人間って悲しいことに『本能的に差別する何かがあるんだ』ということを、もう認識しなきゃいけなくて。特に危機に追いやられたり、過酷な状況になると差別する本能があることに向き合わなければいけない。そして、“歴史的にこういう差別をしてきた”というのを共有して、でも我々は進化してアップデートしている訳だから、もう二度と起こらない為にどうするかを教育の段階でやるべき」と、人間の本質に触れながら差別教育の重要性を説いた。本放送の様子は、現在も「ABEMAビデオ」で配信中。

■『ABEMA Prime』 放送概要

放送日時 :毎週月~金曜 夜9時~夜11時  ※生放送

放送チャンネル:ABEMA NEWSチャンネル

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