宮中に米献上へ「斎田清祓」「播種祭」 松浦で34年ぶり 神事で栽培成功を祈願

宮中献穀事業の「播種祭」で苗床にイネの種をまく関係者=松浦市今福町

 松浦市今福町でこのほど、宮中に米を献上する「宮中献穀事業」で耕作する水田を清める「斎田清(さいでんきよ)祓(ばらい)」と、イネの種を苗床にまく「播種(はしゅ)祭」があった。新型コロナウイルス感染拡大防止のため関係者約20人だけが参列し、神事で事業の成功を祈願した。同市での献穀事業は1986年以来、34年ぶり。
 献穀事業は毎年、各都道府県の農家代表が皇室行事の新嘗祭(にいなめさい)に新米を献上する行事。本年度は同町木場免の松本元行さん(69)の水田約8アールで、松本さんら地域の農家でつくる農事組合法人「清流の里 木場」(太田黒正司代表)が「なつほのか」を栽培する。宮中献穀松浦市奉賛会(会長・友田吉泰市長)が支援する。
 「斎田清祓」では神職が田を清めた後、奉耕者の松本さんがくわ入れ。「播種祭」では奉賛会長の友田市長、松本さん、太田黒さん(70)が苗床にイネの種を満遍なくまいた。
 耕作長を務める太田黒さんは「『なつほのか』は新しい品種だが、大粒で食味が良く、収量も多い。夏の暑さに強いものの、栽培が難しい面がある。十分注意して育てたい」と話した。今月30日に「田植え祭」が実施される。

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