宣言解除「出口見えた」 希望の一方、まん延警戒

人出が増えた浜町のアーケード=長崎市

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく政府の緊急事態宣言が14日、長崎県など39県で解除された。全国への宣言拡大から約1カ月。休業要請や外出自粛の影響で苦境に立たされている販売事業者らは「長いトンネルの出口が見えた」と希望を見いだしつつ、人の移動によるまん延を警戒。感染予防に向けて気を引き締めた。

 長崎県内では4月17日を最後に、新たな感染者は確認されていない。県の休業要請は遊興施設などを除き5月6日まで。繁華街には人出が戻りつつある。
 NTTドコモのデータ分析によると、長崎市浜町のアーケードの人出(午後3時時点)は、感染拡大前(1月18日~2月14日の平均)と比べ、5月3日は62.2%減だったが、14日は24.3%減まで回復した。
 7日に営業を再開したアーケード内の老舗文具店、石丸文行堂。池添大輔店長(41)は宣言解除に「堂々と商売できるようになる」と歓迎。ただ「移動する人が増えて、またまん延するのは怖い。スタッフ、お客さんへの(感染防止)対策は引き続き力を入れなければ」と警戒を緩めない。
 健康医療機器の製造会社に勤める佐世保市の岩坪範光さん(39)も「引き続き予防対策を徹底したい」と気を引き締める。西日本エリアの営業を担当。自社製品をPRする展示会は中止が相次ぎ、売り上げに影響が出ているという。今週から少しずつ営業を再開しているが「自分もいつ感染するか分からない。お客さまや家族に迷惑をかけないように予防したい」。
 焼き物の町、東彼波佐見町は陶器まつりの延期など大きな影響を受けている。窯元「一真窯」の真崎善太さん(61)は「波佐見焼の流通全体では関東圏の市場が大きいので、すぐに経済が元に戻るとは思わない。長いトンネルの出口がようやく見えてきたというところ」と状況を語り、「ウェブ陶器市の反応が良かったようだ。今回を機に、陶磁器の売り方は変わってくると思う」と展望した。
 今回、重点的な対策が必要な「特定警戒都道府県」の福岡県も宣言が解除された。壱岐市郷ノ浦町の事務職員、山内礼子さん(55)は「来島に対して絶対だめという意識はなくなった。まだ不安は残るが、ウイルスと共存しながら前進しないといけないと思う」と話した。

 


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