新型コロナ関連で初の上場倒産、アパレル名門のレナウンが民事再生開始決定

 (株)レナウン(TSR企業コード:295833440、法人番号:6010701015232、江東区有明3-6-11、設立2004(平成16)年3月1日、資本金184億7106万円、毛利憲司社長)は、東京地裁に子会社の(株)レナウンエージェンシー(TSR企業コード:291357725、法人番号:8010701021765、江東区)に民事再生手続を申し立てられ5月15日、民事再生開始決定及び管理命令を受けた。管財人には永沢徹弁護士(永沢総合法律事務所、中央区日本橋3-3-4、電話03-3273-1800)が選任された
 上場企業の倒産は、2019年1月に山形地裁へ民事再生法の適用を申請した(株)シベール(TSR企業コード:210031050、法人番号:5390001000864、山形市)以来、16カ月ぶり。
 負債総額は138億7900万円。

 「ダーバン」や「アクアスキュータム」などのブランドで知られる老舗アパレル業者。1902(明治35)年、大阪で衣料品販売を手掛ける「佐々木商会」として創業、メリヤスを中心とした繊維商品の製造を展開した。1960年代より、レディースアパレルとして人気を博し、積極的な宣伝広告を展開。CMソング「レナウン娘」などで知られ、業界大手に成長した。
 しかし、安価な海外ブランドの流入などの競合激化から業績が下降、2004年に紳士アパレル大手のダーバンと経営統合。さらに、2010年以降は中国の繊維大手の山東如意科技集団有限公司が第三者割当による新株発行で筆頭株主となり、山東如意グループ入りしていた。
 こうしたなか、2019年12月期は消費税増税、暖冬などで重衣料が苦戦。主要販路である百貨店向け販売も低調で、厳しい経営が続いた。10カ月変則決算となった同期は売上高502億6200万円、営業損失79億9900万円で2期連続の赤字を計上。また、山東如意グループの取引先に対する売掛金の回収難により、同期に53億2400万円の貸倒引当金を計上したことで、大幅な赤字を計上し、決算短信に「継続企業の前提に関する注記」(GC注記)を記載した。
 2020年3月27日、毛利憲司新社長は、都内で行った就任会見で「新型コロナウイルスで消費は経験したことのないような打撃を受けている」とコメント、業績悪化に加え新型コロナウイルスの影響を受けていた。なお、レナウンによると「子会社の法的手続きの予定はなく、管財人の下でスポンサー探索を行い、当社グループの事業の維持再生に取り組む」という。
 レナウンの株式は5月15日付けで東京証券取引所の整理銘柄に指定され、その後、上場廃止となる見込み。

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