サッカーJ2「グッズ担当の女」が語った本音とは 新型コロナでリーグ中断、ネットで「女子会」

J2「グッズ担当の女」によるネット女子会

 スポーツ観戦を盛り上げる応援グッズ。近年はビジュアルに工夫を凝らした多彩なアイテムがファンの気持ちを盛り上げている。そんなグッズの企画・管理を担っているサッカーJ2金沢、新潟、甲府のそれぞれの女性担当者が、新型コロナウイルス感染拡大でリーグが休止に追い込まれる中、サポーターとのつながりを保とうとオンライン「女子会」を開催した。ほのぼのとした空気の中、時折ぽろっと出る衝撃の裏話がうけ、動画投稿サイトのユーチューブでライブ配信した様子がじわりと反響を呼んでいる。(共同通信=門馬佐和子)

 ▽発案から1週間で実現

 4月17日午後7時。ビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」の分割画面にそれぞれのチームのユニホームを身にまとった3人の女性が現れた。「売れたグッズはペンライト。おかげさまで1万6千本近く」「やばい!」「ハンパない!」。売れ筋のグッズや発売前の商品などを紹介しながら和気あいあいとトークが進んだ。

グッズ開発の苦労話を披露する金沢の中野由茉さん

 女子会の発起人はJ2金沢の中野由茉(なかの・ゆま)さん。「グッズ担当の女」としてサポーターの中では知られた存在で、個別ツイッターアカウントのフォロワーが3千人以上に上る。同じグッズ担当で、普段からラインでやりとりする新潟の塚野麻美(つかの・まみ)さん、甲府の山地渚(やまじ・なぎさ)さんに開催を呼び掛けたところ、「秒で『いいよー』と返ってきた」(中野さん)と、発案から1週間ほどで実現した。

 ▽大事故

 「売れた、売れなかったグッズ発表」「消したい過去…やっちまった話」などのテーマに沿ってトークを展開。中野さんが「いっちゃん売れたのはブラック&ゴールドシリーズ」と、金沢のチームカラーの赤とは別の、黒と金を基調としたグッズが人気だと紹介すると、山地さんは「(大きな手の形をした)フォームフィンガーという応援グッズをJ1のクラブがやっているのを見て発注したけど、売れてませーん」と打ち明けた。

売れていないグッズを紹介する甲府の山地渚さん

 「やっちまった話」では、山地さんが「去年のホーム最終戦で、ハーフタイムにマスコットをカートに乗せてスタジアムを一周した時、ブロックに乗り上げる『大事故』を起こしました」と告白。塚野さんも「勝利後に活躍した選手を乗せて走るヒーローカーに選手を乗せ忘れて置き去りにしてしまった」と応じた。

 新型コロナ感染が広がる中、塚野さんが視聴者に「みなさん、不要不急の外出を避けて。どうしても外出する時はマスクを着けて」と呼び掛け、新潟のロゴが入った新商品のマスクをちゃっかり宣伝する一幕もあった。

ロゴ入りのマスクを宣伝する新潟の塚野麻美さん

 ▽苦境のクラブも

 新型コロナの影響で試合はなく、チームの活動も休止しているところが多い。新潟の是永大輔(これなが・だいすけ)社長が10月には手持ち資金が尽きる可能性に言及するなど経営が苦境に陥っているクラブもある。「倉庫もぱんぱん」(山地さん)とグッズの売り上げも大幅に落ち込んでいるが、それでもグッズへの注目を落とさない、休止期間中に少しでもサポーターと関わる機会を設けたい、という思いで今回の女子会を開催した。

試合後にサポーターに挨拶する金沢イレブン=2019年8月10日、町田

 中野さんは「みんなが大変な時期で私たちも一つのクラブとして何かできないかなとこういう企画を行った。今はオンラインショップのみになってくるが、わかりやすく、皆さんのもとにたくさんの商品が届くことを願っています」と話した。

 動画はユーチューブの金沢、甲府公式チャンネルで公開されている。好評であれば第2回開催の可能性もあるという。

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