WRC:7月のサファリ・ラリーは2021年に順延。シリーズ再開は8月のフィンランド戦か

 ケニア政府は5月15日、7月16~19日に開催を予定していたWRC世界ラリー選手権であるサファリ・ラリー・ケニアの開催を2021年に延期すると発表した。同大会は2002年以来に世界選手権復活を果たす予定だったが、1年先送りとなった。

 サファリ・ラリー開催延期は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を踏まえて決断されたもので、ケニア政府とFIA、WRCプロモーターの三者が協議した上で、決定された。

 新型コロナウイルスはアフリカ54カ国すべてで感染が確認されるなどアフリカ大陸でも脅威となっており、シリーズに参戦するチームからはヨーロッパを中心に多くの国から関係者が集まるWRCの開催はふさわしくないとの声も出ていたようだ。

 2020年のWRCですでに延期が発表されているラリー・アルゼンチンやラリー・イタリアは年内開催での調整が進められているが、サファリ・ラリーは2020年内の開催はなく、2021年への順延となった。具体的な開催日程は「よりふさわしい時期を検討した後、アナウンスする」とされている。

 ケニアのスポーツ、遺産、文化担当内閣官房長を務めるアミナ・モハメドは「ウフル・ケニヤッタ大統領やサファリ・ラリーをサポートしているパトロンのみなさんによる支援に感謝します」とコメントを発表している。

「またサファリ・ラリーをWRCに復活させようと動き始めたときから、格別の支援をいただいたFIAのジャン・トッド会長、WRCプロモーターのオリバー・シースラ代表にも感謝しています」

「2021年、シリーズに参戦するチームやドライバー、熱狂的なラリーファンを万全な状態でケニアにお迎えできるよう全速力で準備を進めてまいります」

「サファリ・ラリー・ケニア開催を2021年に延期するという決断は簡単なものではありませんでした。しかしながら、私たちは今世界がどんな困難に直面しているかを熟知しています」

「サファリ・ラリー・ケニアがWRCの1戦として開催される3年間は、我が国の歴史において大きな意味を持つことは間違いありません」

 またサファリ・ラリーのフィニアス・キマジCEOは「ワールドクラスのイベント開催に向けて実働班は懸命に準備を進めてきた。(ケニア西部の)ナクルに設置予定だったサービスパークについても予定どおりに作業が進んでいた」とコメントしている。

「またイベント・セーフティプランやアイテナリー(走行スケジュール)、細かなレギュレーションなどについてもFIAやWRCプロモーターが求めるスケジュールどおりに準備していた」

「ドライバーを始めとする関係者は、我々が新たな開催日程を確定させるまで事務局とコミュニケーションを取り続けて欲しい」

 アフリカの大地を舞台に争われるサファリ・ラリーは世界でもっとも過酷なラリーのひとつとして知られ、2002年まではWRCの1戦に組み込まれていたが、以降はカレンダーに含まれず。2020年に18年ぶりのシリーズ復活を果たす予定だった。

 サファリ・ラリー・ケニアが1年延期されたことで、5月15日時点でWRCの再開は8月6~9日のラリー・フィンランドになる予定。しかし、このラリー・フィンランドも状況によっては9~10月へ延期される可能性があるとされている。

 またWRCでは、すでに5月21~24日開催のラリー・ポルトガルの中止が決まっているため、今回のサファリ・ラリー・ケニア順延と合わせると、2020年シーズンは当初の予定より2戦少ない全12戦で争われる見込みとなった。

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