試合数減で膨らむ夢の“4割打者”誕生の可能性 日ハム近藤や広島鈴木誠らに期待?

広島・鈴木誠也(左)と日本ハム・近藤健介【写真:荒川祐史、石川加奈子】

プロ野球は6月中の開幕を目指す、今季のシーズンは最大でも120試合程度か

新型コロナウイルス感染拡大により、開幕延期していたプロ野球は6月中の開幕を目指し、準備を進めている。本来143試合あったシーズンの試合数減少は決定的で、ファンの楽しみは減ることになるが、一方で前人未到の記録が生まれる可能性もある。

プロ野球の歴史の中で数々の名打者たちが挑んだ打率4割の壁。ここでは試合数減少が“恩恵”となり、期待される“夢の4割打者”誕生の可能性を見ていこう。

開幕は最短6月19日を軸とされており、今季は最大でも120試合程度と見られている。シーズンが120試合だと仮定すると、規定打席(120×3.1)は372打席となる。打率を上げるために必要な要素は数々あるが、簡単に言えば安打は増やし、打数を減らすこと。そこで打数を減らすために必要なポイントとなるのは「四球」だ。

2019年にシーズン100四球を選んだ打者は日本ハムの近藤健介、ヤクルトの山田哲人、広島の鈴木誠也。この3人は約6打席に1つ、四球を奪っていることになる。2020年の規定打席を372打席と仮定し、犠打、死球を合わせると想定打数は約300。300打数で打率4割を達成するためには120安打が必要だが、これも簡単なことではない。

○日本ハム 近藤健介 (138試合、600打席490打数、148安打、103四球、打率.302)※( )内は昨季成績

○ヤクルト 山田哲人 (142試合、641打席520打数、141安打、110四球、打率.271)

○広島 鈴木誠也 (140試合、612打席499打数、167安打、103四球、打率.335)

プロ野球の歴代最高打率は1986年のバースが記録した.389

近年で“4割男”として注目を浴びたのは日本ハムの近藤。2017年に怪我で離脱したが57試合で打率.413(167打数69安打)をマーク。広角に打ち分ける打撃技術と卓越した選球眼は球界トップクラス。

史上初の3度のトリプル3を達成しているヤクルトの山田哲。昨季は打率.271と3割を逃したが2年連続で100四球を記録。2014年には193安打で最多安打を獲得、3度の盗塁王と俊足も武器の一つだ。

広島の鈴木誠は昨年、打率.335をマークし首位打者を獲得。4番として長打力、打点を求められる中でも近年はしっかりとボールを選び、年々四球数は増加。4年連続打率3割を記録するなど安定した打撃が光る。

その他にも広島時代の2018年に歴代4位タイとなる130四球を記録した丸佳浩(現巨人)、昨年の首位打者の西武・森、シーズン序盤は不振だったが8月の月間打率.407をマークするなど夏場にかけて安打を重ねたオリックス・吉田正尚、巨人・坂本勇らも“夢の4割”候補に挙げたい。

プロ野球の歴代最高打率は1986年の阪神・バースが記録した打率.389(453打数176安打)、次いで2000年のオリックス・イチローの打率.387(395打数153安打)となっている。右打者での最高打率は2008年、横浜時代の内川(現ソフトバンク)が記録した打率.378だ。打率4割をキープしたプロ野球最長記録は1989年の巨人・クロマティの96試合となっている。

セ・リーグ、パ・リーグでの移動も少なくなる可能性もあり選手の負担は軽減されることも一つのメリットといえる。勿論、懸念材料もある。練習試合が途中で中断となり、自主トレーニング期間が長くなったため、選手たちの試合勘がどこまで戻るか。開幕までの短い準備期間でどこまで本来の力を取り戻せるかもカギとなりそうだ。開幕日と試合数が決まれば、こんなポイントも楽しみのひとつになるかもしれない。(Full-Count編集部)

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