誰でも巻ける毛鉤シリーズ。「パラシュート」を巻いてみよう。【どちゃくそ簡単フライタイイング #01 動画】

ポストインジケーターに水平にフェザーを巻きつけ、ドライフライとして機能させる形状全般をパラシュート、もしくはパラシュートフライと呼んで差し支えない。

さぁ、梅雨の季節が差し迫っていますが、明ければ海に、川に生気がみなぎる季節。今回は、フライフィッシングやテンカラなどに使えるパイロット的な毛鉤(フライ)の巻き方を動画で公開します。意外にやってみると簡単なのがタイイング。ぜひ、トライしてみてくださいね!

先日公開した記事に、タイイングに必要な道具などについても解説しておりますので、ぜひご覧ください。今回は、ある程度、フライの毛鉤を巻かれる方向けの解説になりますのでご容赦ください。

パラシュートフライとは?

このフライは、ドライフライ(水面に浮かせて魚を誘う毛鉤の総称)としてフライを機能させるためのハックルが、ポストインジケーター(写真のオレンジの目印です)に水平にハックリング(フェザーをフックや素材に巻きつけて広げる技法)されている類のフライの俗称となっております。

インジケーターの材質、ボディの材質やカラー、テイルの材質やカラーに特に決まりはない。
ポストインジケーターに水平にフェザーを巻きつけ、ドライフライとして機能させる形状全般をパラシュート、もしくはパラシュートフライと呼んで差し支えない。

基本的には、インジケーター、テイル、ボディ、ソラックス(胸)、ハックルで構成されておりますが、テイルが無いものなどもバリエーションとして存在します。

パラシュートフライの機能的特徴

ドライフライとして機能するためのハックルが水面張力を保持されやすい形でハックリングされていることから、浮力維持性能が高いのがひとつの特徴です。

また、テイルによりアンカー効果が生まれ、ドライフライで魚を釣る時の基本テクニック、ドラッグフリー(糸に引っ張られないように、自然にフライを流れに浮かせる)がさせやすいのが利点とも言えます。

クラシカルなフライとは違って、使用するマテリアルの組み合わせは無限大ですので、アダムス、ロイヤルコーチマンなどのパターンに近似したパラシュートフライを作ることもなんら問題ありませんし、オリジナルで巻くのもよいでしょう。

弱点は、イミテーション性よりも機能性にステータスを振ったフライですので、ターゲットとなる魚がスレていたり、ハッチしている一定の虫などに固執している場合は、見切られやすくなります。

パラシュートの使い方

流れの速い渓流部や、プレッシャーが低い場所なのでは使いやすいフライです。フロータントと呼ばれる毛鉤の撥水力を引き上げるアイテムなどと併用すれば、山間部などの渓流では非常に強い武器になります。

フロータントは大きくわけて4種類あります。パウダータイプ、リキッドタイプ、スプレータイプ、ジェルタイプ。特に前3種は使いやすいのでオススメです。

ちなみにですが、ビギナーでも扱いやすいドライフライとなっていますので、フライフィッシングを始めた方なら、エルクヘアカディスと並んで、最初に用意すべきパターンのひとつといっても過言ではないでしょう。

レシピと巻き方(動画)

フック:スタンダードタイプのドライフライフック#10-#16
スレッド:ダンビル、UNIなどの6/0(カラーはボディ材に近い色オススメ)
テイル:ハリのあるコックフェザーなど
インジケーター:ハイビズエアロドライウイング(TMC)FLオレンジ
ボディ&ソラックス:スーパーファインドライフライダビング(WAPSI)(カラーは任意)
ハックル:コックネックネック(ホワイティング)

フック

レシピの注意点としては、フライフックは指定通りでなくて問題ありません。
今回のような、テイル付きのスタンダードなパラシュートフライを巻く場合はTMC100(ティムコ)系、2100スタンダードドライ(VARIVAS)などのフックのフォルムがバランスがいいでしょう。
大きくても#10前後、小さくても#16番前後のフックに巻くのがオススメです。#18くらいになりますと、他のフライパターンのほうが機能的かもしれません。

スレッド

スレッドのダンビルとUNIというのはメーカーを指します。
ダンビルは細い糸がよられているので、扁平に巻きやすい、つまりフックに段差が付きにくい反面、強度にやや問題があります。
UNIはしっかりと糸状になっておりますので、点でマテリアルを止めることができます。強度も高いですが、スレッドによる段差ができやすいのが弱みです。
たいした差異はないのでお好みで選んでください。

テイル

テイルは、ハリのあるフェザーであればどんなものでもかまいません。場合によっては、エルクヘアなどを使用することもあります。
水没させる機能性を持たせる必要があるパターンを敢えて巻くのでない限り、吸水性の低い素材でタイイングすることをオススメします。

インジケーター

インジケーターは目印ですので、どんな素材やカラーでもかまいません。ただ、テイルと同じく、浮かせる事を意識したパターンですので吸水性の低い素材を使用してください。
動画で使用しているエアロドライウイングはフライに使用するインジケーターの定番で、カラーバリエーションも豊富、なおかつ使いやすいことからオススメしております。

ボディ&ソラックス

ボディ材は、吸水性の低い繊維を集めたものから、ピーコック(孔雀の羽)、クイル(風切羽根系)、植物性のものと多岐に渡ります。
カラーバリエーションのコントロールがしやすいことと、巻きやすいことからスーパーファインドライフライダビング(WAPSI)をオススメしています。

ハックル

このフライをドライフライとして機能せさせる、キーとなる素材です。フライには専用に品種改良された鶏の毛が販売されています。現在、ホワイティング社、メッツ社などのハックルが在庫を含めて手に入れやすくなっております。
ハックルにはグレードが設定されていますが、一番下のグレードでも、十二分の性能を秘めておりますので、金ならある!って方以外は、最上級のグレードでなくても問題ありません(笑)。
ネック(首の毛)とサドル(お尻に近い場所の毛)がハックル用に区別され販売されています。様々なサイズを巻く事を前提ならばネックを選びましょう。
同一サイズ近辺を大量に巻く場合はサドルがオススメです。

では、この機能的なドライフライのタイイングをマスターして、渓流にくりだしてくださいね! 先日、静止画で簡単に解説した記事をアップしておりますので、あわせてご覧くださいませ。

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