今後の経済低迷懸念7割 主要企業へ再調査、長崎経済研究所 新型コロナ影響 テレワーク実施は3割

新型コロナ感染拡大による今度の懸念と現在実施または検討中の感染対策

 十八銀行系シンクタンク長崎経済研究所(長崎市)は、県内主要企業を対象に新型コロナウイルス感染拡大に関する2回目の調査を実施した。7割が今後の消費減速や経済低迷を懸念。感染防止策として推奨されるテレワーク・在宅勤務に取り組んでいるのは3割にとどまった。
 調査は1~14日にメールで行い、140社が回答した(回答率42.7%)。回答企業の業種別内訳は製造34、建設13、運輸20、卸売り26、小売り13、サービス24、その他10。
 現在の影響(複数回答)は「出張の延期や中止」が77%に達し、次いで「商談の延期や中止」が65%、休業や営業時間短縮など「営業活動への影響」が52%と続いた。前回調査(2月25日~3月2日)では「影響がある」と答えた企業が65%だったが、今回は大半に及んでいる。
 今後の懸念(複数回答)は「消費減速・経済低迷」が73%と最多。以下「営業休止や事業規模縮小の長期化」50%、「取引先の倒産・廃業の増加」47%、「資金繰り」37%、「雇用維持」30%-と続いた。資金繰りや雇用維持は足元より先行きに懸念が強い。
 感染拡大防止策として4例を示し実施状況を尋ねた。「テレワーク・在宅勤務」は29%にとどまり、15%が検討中、55%は実施を予定していない。このほか「時差出勤」を実施しているのは38%、「休暇取得奨励」は54%。「事業継続計画(BCP)の見直し」の実施は13%しかなかったが、コロナ禍を機に検討する企業が半数近くに上った。
 テレワーク・在宅勤務導入時の問題点も質問(複数回答)。「業種柄、導入しにくい」が77%と圧倒的に多く、中でも小売業や製造業、サービス業の割合が高かった。ほかには「パソコンなどの機器やネットワーク環境の設備が十分ではない」31%、「社内体制が整っていない」30%、「セキュリティー面で不安がある」27%-など。導入に向けた行政に求める支援策(自由回答)として、費用の補助や専門家派遣などが挙がった。
 同研究所の泉猛主任研究員は「県内でも新しい働き方を模索する動きがみられる」と分析。その上で「コロナ禍で経営環境が厳しい中『新しい生活様式』に即した環境を整備するとともに、従来型の働き方に戻すだけではなく、変革させる契機と捉え、生産性の向上につなげていく必要がある」と提言する。


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