フリーランス・個人事業主を対象とした給付金にはどのようなものがある?

新型コロナウイルスの蔓延を受け、緊急事態宣言が発令されてから1ヶ月以上が経過しました。これによってあらゆる業界が影響を受けることになりましたが、フリーランスや個人事業主ももちろん例外ではなく、自身フリーライターである筆者の周りを見ても、これまで携わっていたプロジェクトの規模が縮小、もしくは、完全な白紙になったという方も少なくはありません。

政府は「緊急経済対策」として、フリーランス・個人事業主にも支援や給付金の支給を盛り込んでいますが、では、その内実はどのようになっているのでしょうか。5月中旬現在の情報をまとめました。

 

持続化給付金

まず、SNSなどでも見る機会が多いのが「持続化給付金」です。これはざっくり言えば、中小法人、および個人事業主を対象とした給付金制度です。

ここでは個人事業主を対象に説明しますが、まず、わかりやすいのは以下の画像です。

給付対象の主な要件としては、①にもあるように、ひと月の売り上げが前年同月比で50%以上減少していること。この状況にある人は少なくはないはずです。少し身のまわりに想像を伸ばすだけでも、たとえばあの店の人や、あの施設の人も当てはまるのではないか、と感じられるのではないでしょうか。

現状のように外出の自粛が求められている中では、飲食店に足を運ぶ人も明らかに減っており、またビールなどの嗜好品の売り上げもまた減っています。下に挙げるのは大企業の例ですが、小規模の事業を営んでいる人の場合は、さらに痛手があるでしょう。

もちろん、映画館や劇場、美術館など、休館を余儀なくされている文化的施設と関わりのある方にもそれは当てはまります。
参考:https://www.jiji.com/jc/article?k=2020051500841&g=eco

 

たとえば、今年3月の売り上げが20万円であったとしましょう。もし昨年3月の売り上げが50万円であったとすれば、昨年同月比の5割をさらに下回っている形になりますので、給付金の対象となります。確定申告を青色で行っている人の場合は、問題なく受理されるでしょう。

白色で申告している人の場合は、前年度の年間総売り上げの平均を割り出し、それを基準に月ごとの売り上げを計算します。たとえば昨年度の総売り上げが600万円であった場合は600万÷12=50万円(月々の売り上げ)となります。この場合、今年になって5割の25万円を下回っている月があれば、これも給付金の対象になります。

申請のプロセスとしては、おおむね以下の画像の通りです。身分証明書のほか確定申告に関連した書類は必須なので、気を付けるようにしましょう。

住宅確保給付金

次に、住宅確保給付金です。仕事がなくなってしまえば、困るのは住居の問題です。もともとは離職し、世帯の生計を主に担っていた人や、ハローワークで求職中の人を対象とした既存の制度ではありましたが、コロナ禍の影響もまた給付要件に加えられました。

コロナ禍によって対象となる人は以下の通りです。

・新型コロナウイルス感染拡大の影響で仕事を失い、家賃が払えない人
・離職又は廃業には至っていないが住宅を失うかも知れない人

受給の要件は全国どこでも変わりませんが、補助額は自治体によって違います。そのため、まずは「自分の住む市区町村+住宅確保給付金」で検索し、その内容を熟読することが必要となりそうです。

施策の詳細はこちらです(https://www.mhlw.go.jp/content/000620018.pdf)。

 

小学校休業等対応支援金

もちろん、家族の問題もあります。現在は学校もオンライン授業などで対応してはいるものの、子どもたちもずっと外出がままならない状態のため、子どもがいるフリーランスの人の場合は、その世話に追われざるを得ないでしょう。ここで紹介するのは、子どもの世話をするために請け負える仕事の量が減り、収入が減少したフリーランスのための支援金です。

対象期間は2020年2月27日~6月30日の間で、就業ができなかった日数×4100円が支払われます。詳細は下記を参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html

 

給付奨学金-家計急変-

これは当てはまる人がどれだけいるかはわかりませんが、現在大学や短大、高専、専門学校に通っている人の中で、生計維持者の志望などによって家計が急変した人を対象にした給付金です。

とはいえ、現在は学生フリーランス、また社会人学生として学んでいる人も少なくないとは思いますので、そうした人は、ぜひこちらを活用していただければと思います。在学している学校が給付奨学金の対象として、国または自治体の確認を受けていれば、受給は可能です。

大学・短大は97%、高専は100%、専門学校は62%が対象となっています。
https://www.mext.go.jp/kyufu/support_tg.htm

 

個人向け緊急小口資金等の特例貸付

ここまでは給付制度の説明をしてきましたが、コロナに関連した融資や、国民年金保険料の猶予、また各自治体や保険会社による水道・光熱費、生命保険料の猶予などの制度も多数存在します。

しかし、その中でフリーランスにとってもっとも緊急の価値が高いのは、社会福祉協議会が担当する「個人向け緊急小口資金等の特例貸付」かもしれません。内容としては、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生活維持のための現金を必要とする世帯に、無利子による貸付を行います。

詳しくは下記を参照願えればと思いますが、学校などの休業、個人事業主などのコロナ感染拡大の影響にともなう特例の場合、20万円以内が速やかに貸与され、その他の場合でも10万円以内が速やかに貸与されます。返済開始は貸与から1年後と定められていますが、収入状況によっては償還を免除される場合もあります。

「(よっぽどじゃないと)返さなくちゃいけない」ことを重荷に感じる方もいるかもしれませんが、無利子・無担保であるため、すぐに申請できるメリットは大きいです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000621128.pdf

 

無収入の人も少なくない

冒頭で述べたことの少し繰り返しになりますが、現状、フリーランスを取り巻く環境は決して明るくはありません。直近では下記の記事にあるように、フリーランスの俳優や音楽家などへの支援に課題があるとして、関連する団体が合同で会見を開きました。俳優などを嘆賞にした日本俳優連合の調査によると、今月に入ってからの収入が「無収入」と答えた人が全体の2割にのぼるといいます。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200520/1000049046.html

少し筆者の状況を述べます。

筆者は映画がおもな専門分野であり、新作映画のインタビューなども行うことが多いのですが、現状では映画の公開、製作などもほぼ止まっているため、新規のインタビューの調整、また公開が延期となっている映画記事のアップなどもできません。

そのため、映画記事に絡んだ収入は激減しています。これは映画の例ですが、美術や演劇にもそれは当てはまりますし、また全般的に対面での取材は難しくなっているため、フリーランスの記者・ライター全般に影響は出ていると恐らくは言えるでしょう。

このような中、給付金を受け取るのは立派な権利です。私もそのつもりですが、自分の払ってきた税金を取り戻す気持ちで、一つひとつ入念に調べ、申請を行っていきましょう。

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