【リノベと耐震】中古マンションって大地震で崩れたりしませんか?

表参道で見かけたリノベーションのお店『クロニクル』にいた、インテリアコーディネーターのおねえさんとの一問一答によって、リノベ知識をまるでスポンジのごとく吸収する理延城人(りのべ・しろと)──ただ、都心住まいを希望する理延にとって……「中古物件の耐震性」には、一抹の不安を抱かざるを得ないのであった。

《目次》- 「旧耐震」と「新耐震」の違い

「旧耐震」と「新耐震」の違い

理延:リノベーションする前提で中古マンションを買いたいんだけど、耐震性に問題があったりはしないんですか?

江藤:たしかに築年数が40年を超える「新耐震」ではない物件だと、耐久性が弱いケースもありますね……。

理延:「新耐震」や「旧耐震」って、不動産屋さんでもよく耳にするなぁ。でも、じつはその差がイマイチわからないんですよね。

江藤:おおまかに言うと、1981年(昭和56年)以降に建設した物件が「新耐震」。それ以前は「旧耐震」です。この年に行われた大々的な耐震基準の見直しによって、住宅の耐震基準が変わったんです。築年数40年前後の物件は「新耐震」なのか「旧耐震」なのか、よーく確認したほうがいいですね。

《補足解説》

日本の建築物の耐震基準は、関東大震災(1923年)、福井地震(1948年)、十勝沖地震(1968年)……といった大地震が発生するたび、新基準の制定や改正が繰り返されてきました。なかでも、大きな改正となったのが、宮城県沖地震(1978年)の甚大な被害を教訓とし、1981年に施工された「建築基準法大改正」です。同法令では、住宅やマンション・ビルなどの建築物を「震度5以上の中規模地震では軽微な損傷、震度6から7程度の大規模地震でも倒壊は免れる強さ」とすることを義務づける、新たな設計基準が設けられました。これが「新耐震基準」です。

「旧耐震」は選ばないほうがいい?

耐震改修工事を施したマンションならば、「旧耐震」でも耐震への信頼度は高まる

ってことは、地震が不安だったら、1981年より古い物件は避けたほうがいいってことですよね。

江藤:基本的にはそうですが、そうとも言い切れないんです。古い物件でも耐震性に優れたマンションもあるんです。

理延:へ、そーなの?

1981年以前に建てられた「旧耐震」の物件でも、耐震改修工事を実施して耐震性を高めたマンションもあります。あと、富裕層向けのマンション、いわゆるヴィンテージマンションと呼ばれる物件は、とても頑丈につくられています。梁や柱もかなり太いため、古くても十分な強度があるんです。

理延:だけどそういった物件は、古くても高額になりがちなのでは……?

江藤:耐震性の低いマンションに比べると価格が上がるケースもありますが、物件というのは、環境立地・交通アクセス・ロケーション・外観の美しさ……と、さまざまな要素が複雑に加わってきますので、「造りのしっかりしたマンション=高い」「新耐震物件=高い」という先入観は一度取っ払ってしまったほうがいいと私は思います。

理延:「中古物件の見極め」って、奥が深いわ。そんなのボクには至難のワザです……。

江藤:おまかせください(笑)。弊社ではご希望に応じて、「新耐震でも割安な物件」「旧耐震でもしっかりとした物件」を探すお手伝いもさせていただきます。

理延:よろしくお願いしますっ!

《補足解説》

1981年(昭和56年)前後に建築された物件を自分で探す場合は、不動産屋に詳しく調べてもらうよう依頼するのがベストです。旧耐震物件ならば、「耐震補強」を含めた大規模修繕がいつ行われたかをチェックするのも大切。修繕記録や竣工図の梁の太さなどを見ながら、説明してもらいましょう。新耐震物件ならば、「耐震」「制震」「免震」──どの建築構造を施しているのかも重要なポイントになってきます。

耐震=地震に耐えるだけの頑丈な造りのもの
制震=ダンパーなど特殊な部材が揺れを吸収する造りのもの
免震=床下にゴムのような素材を挟んで、それが揺れを響かないようにする造りのもの

ちなみに、「制震」や「免震」は「耐震」より総じてコストは高めになります。なかでも「免震」はタワーマンションなどに多い最新の技術です。

「耐震性構造」以外にチェックすべきポイント

管理組合や住民の修繕に対する意識は事前に確認したい。とくに長期修繕計画は要チェック

理延:耐震性に関わる、他のチェックポイントは?

江藤:案外、見落としがちなのが「マンションの管理状態」。ここはぜひチェックしてください。

え、どうして管理状態と耐震性が関係するの?

先ほどお話しした耐震改修工事も、マンション管理組合が修繕積立金を使って施工するケースが多いようです。ですので、住民の方、管理組合の方の意識、管理状態によって、耐震性が左右されるわけです。

理延:築年数や耐震構造みたいに明記されていないから、我々素人にはチェックのしようがありません……。

江藤:かもしれません。ただ、ある程度の目安になるポイントはあります。

理延:マジですか!?

江藤:外装や共用部分、植え込みなどがきちんと手入れされてるか……を、まずは確認してみましょう。これなら簡単ですよね(笑)?

《補足解説》

あと、定期的な修繕が行われている、もしくは今後の修繕計画がきちんとなされているか……も欠かさずチェックしましょう。10年~15年おきに実施する大規模修繕をはじめ、日頃から補修や改修ががしっかり行われているかどうかチェックしたいですね。メンテナンスをしっかり行わないことで、耐震にまで影響を及ぼすケースもあり得ますから。不動産屋を通じてマンションの管理組合に問い合わせをすれば、修繕の履歴や計画は教えてもらうことができます。

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