ドイツ人に多い名前ランキングを大調査! トップ10からドイツ人もびっくりの変わった名前まで

3万4274種類あるというドイツの苗字。辞書を引けばそのまま単語として見つかるような、シンプルな苗字が多い印象だ。苗字の意味を知ることで、友人や同僚の祖先の姿が見えてくることも……。まずはドイツの苗字によくあるパターンを知るところから始めてみよう。

ドイツの苗字は職業にちなんだ名前が多い!

ドイツで1番多い苗字はMüllerさん。粉屋という意味の通り、先祖の職業を表す苗字だ。ドイツの苗字は職業にちなんだものが多く、なんとトップ10の苗字はすべて職業に関連している。ほかにも、動物や土地に由来するものや、ドイツの人も出会ったことがないような珍しい名前を、一挙に紹介しよう。

ドイツの苗字ランキングTOP10

動物にちなんだ苗字

先祖の特徴にちなんだ苗字

出身地や居住地などに由来する苗字

ドイツ人もびっくりの珍しい苗字

vonが付くのは高貴な名前?

もともと「フォン(von)」は、「Herzog von Württemberg(ヴュルテンベルク公爵)」のように居住地や統治権を示すために用いられていた。1630年ころ、貴族が称号としてフォンを用いることが一般的になったが、フォンが付くからといって、必ずしも貴族というわけではなかったという。また、フォンの代わりに「ツー(zu)」が用いられることもある。

フォンが付く著名人として挙げられるのは、ゲーテ(1749-1832)だ。もともとは貴族ではなかったが、1782年に神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世により貴族の称号を与えられ、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテと名乗るようになる。

ちなみに、ルートヴィヒ・ファン・ベートーヴェン(1770-1827)はフォンではなく、オランダ語圏でみられる「ファン」。ウィーンでは貴族の生まれだと勘違いされていたというエピソードも残っている。

第一次世界大戦後の1919年8月にワイマール憲法が施行されたことにより、ドイツでは貴族制度を廃止。特権を持たなくなった貴族たちは一般人となったが、本名の一部に引き続きフォンを使用することが許された。

現在ドイツには、フォンを名乗る元貴族の家系の人が約8万人いるが、人々の高貴な名前への憧れはいまだ健在。例えば、貴族の名前を持つ女性と中流階級の男性が結婚する場合、通常は女性の苗字を選択する傾向にある。

また、貴族の名前を数ユーロで販売するサイトが存在し、就職活動などでその名を使用することで有利になるとかならないとか……。

ドイツの夫婦の4分の3は夫の姓を選択

1794年に施行されたプロイセン一般ラント法により、婚姻した男女はどちらも夫の姓を名乗ることが定められた。1976年に行われた婚姻法改革により、妻が旧姓およびダブルネーム(旧姓を後ろに付ける)を使用できるように。

しかし、それは夫婦の双方の同意があったときのみに適用され、同意がない場合は自動的に夫の姓を名乗らなければならなかった。しかし1991年になって、男女平等の観点から、この法律は基本法(ドイツの憲法)に矛盾することが連邦憲法裁判所で認めらた。

その後、1994年に施行された新たな氏名法(Familiennamenrechtsgesetz)により、ついに妻も婚姻後に自由に姓を選択できるようになったのだった。

ほかにも、子どもはどちらかの姓にすることが定められており、ダブルネームを付けることはできない。また、子どもが複数いる場合は全員同じ姓にする必要があるなどのルールも。

夫婦の姓の選択肢については、下記の4つのパターンがある。

夫婦の姓のパターン

Müllerさん(夫)とSchmidtさん(妻)が結婚した場合……

● 夫の姓
2人ともMüllerを名乗る。婚姻改革が行わてすぐの約40年前は約98%が夫の姓を選択していたが、現在は全体の約75%まで減った。

● 妻の姓
2人ともSchmidtを名乗る。妻の姓を選択する夫婦は、全体の約6%にとどまっている。

● 夫婦別姓
それぞれが婚姻前の名前Müller、Schmidtを名乗る。全体の約12%。

● ダブルネーム
夫婦の一方が自分の旧姓を前か後ろに付けることができ、この場合はMüller-Schmidt、Schmidt- Müllerのいずれか。2人で同じダブルネームを名乗ることはできない。全体の約8%の人がダブルネームを選択し、男性の割合はそのうち約12%。


ドイツ人の名前大調査 名前編はこちら

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