え? 缶ビール持ち込みOKの廻らない寿司屋がある!? 自粛解除後すぐ行きたい店

コロナの影響による外出自粛の要請が出てから1ヶ月以上が経過しました。お酒が好きな私は、それまでは外で飲む機会も多かったのですが、もう随分と家飲みに徹しています。とはいえ、緩和から解除に向けた動きが見えはじた昨今。出かけられるようになったらあの店に行こうと、心の中ではクラウチングスタート構えでその日を待ちわびています。

今回は、そうなったら真っ先に行きたい、ちょっと珍しいお寿司屋さんをご紹介いたしましょう。

「寿司でもつまみながら飲みたいな」と思って一皿100円の回転寿司に行っても、私のような酒飲みの場合、ビールや日本酒を何杯も飲んでしまうとかなりの値段になってしまいます。そんな、酒飲みで貧乏な、どうしようもない僕らのためにあるようなお寿司屋さん。

池袋から電車で約20分。住宅地にかこまれた東久留米駅のそばにそのお寿司屋さんはあります。その名も「二葉鮨」、外観は何の変哲もない街のお寿司屋さんといった風情です。

店内はカウンター6〜7席のみの、こぢんまりとした普通のお寿司屋さん。回っていない寿司なんて、私のような下民には入店のライセンスさえもらえていないような気分になりますが、そんな気持ちを救ってくれる張り紙が、店内で燦然と輝いているのです。

「缶酎ハイ持ち込み自由」と書かれたその張り紙。許可されているならと、駅前のコンビニで買ってきました。注文したのは、握りの最安値「楓」(900円)。大将はさっそく、慣れた握っていきます。

待っている間、ガサゴソとコンビニ袋から缶酎ハイを出そうとしていると「あ、お酒飲む?」と大将。持ち込み自由と張り紙があるものの、飲食店(しかもちゃんとした寿司屋)で、持ち込みのお酒を取り出すのはなんとなくバツが悪い感じ。しかし、大将はすぐにコップを用意してくれたばかりか、氷まで出してくれました。それでも、寿司屋で缶酎ハイのプシュッという音をさせるのは、違和感があります。

しばらくすると、前半のネタが目の前に並べられました。やはり、100円の回転寿司とはネタの美しさが違います。コハダを一口いただくと、きつめにキレよくシメられているため、喉がすぐにお酒を欲します。酎ハイをグッと飲んで口の中に広がる多幸感。他のネタもいただきましたが、どれも臭みは一切なく、回らない寿司屋のきちんとした仕事が感じられます。

張り紙には「缶酎ハイ」としか書いていないのですが、ほかのお酒もOKとのことで、次は缶ビール。このドリンクは店に1円も落とさないのに、大将はグラスを交換してくれました。続いて出てくる巻物も、シャリにこだわっているだけあって、美味しくいただけます。

そしてやはり「寿司には日本酒」というわけでパック酒をひとつ。案の定相性抜群で、口の中だけだった多幸感はいまや身体中に広がっています。回らないお寿司屋さんでこれだけ飲食すれば、4000円近くを覚悟しなくてはいけません。それが、お酒まで含めて1500円で済んでしまいました。本当に、僕にとっての石原軍団のようなお店です。

お寿司をいただきながら、大将にいろんなお話を伺いました。戦争で両親を亡くし孤児となった大将は、学校を出る前から親戚の寿司屋で修行をはじめたそう。すでにこの道70年近く! 素晴らしいお寿司を握る理由がわかりました。

タバコもギャンブルもせずに仕事一筋で生きてきた大将は、お酒も飲まないそうで「酒のことは、わからない自分がやるより、買ってきた方がいいでしょ? お互いに」という発想から生まれたのだと言います。

都心からは少し離れますが、素晴らしい大将と話しながら気軽な酒をいい寿司で飲める二葉鮨。外出可能になった時にはかならずまた訪れます。コンビニ袋をぶらさげて。(Mr.tsubaking連載 『どうした!? ウォーカー』 第58回)

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