雲仙・小浜『客足じわり』 ミヤマキリシマ見ごろ 休業施設も再開

「ほっとふっと105」でくつろぐ行楽客=23日、雲仙市

 新型コロナウイルス流行を受けて客足が遠のいていた長崎県雲仙市の温泉街や行楽スポットに活気が戻りつつある。仁田峠でミヤマキリシマが見ごろを迎えた先週末、好天とも重なり、展望所の駐車場(約200台分)は一時、登山客や行楽客で満車に。雲仙と小浜の両温泉街もマスク姿の人々でにぎわった。行楽客も、受け入れる側も新型コロナ感染防止への対策、警戒を続けつつ、県内有数の湯どころは日常を取り戻す一歩を踏み出している。

 緊急事態宣言を受け、同市内では足湯施設「ほっとふっと105」などが休業。小浜仁田峠循環線が通行止めになるなどし、客足が途絶えていた。
 宣言が本県で解除されてからは徐々に回復。雲仙温泉街では先週末、雲仙地獄巡りを楽しむ客が多く、販売再開されたばかりの「雲仙地獄たまご」(温泉蒸したまご)が好評だった。東彼波佐見町井石郷から、娘夫婦や孫たちと7人で訪れた会社役員、川内勉さん(63)は「人通りが多くて驚いた。念のためにマスクを着けているが、天気も景色も良くてストレス発散できた」と満足そうに話した。小浜温泉街の「ほっとふっと105」も、リラックスする家族連れやカップルなどでにぎわった。
 旅館やホテルは、施設内の消毒やソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保を徹底しながら客を迎えている。経済対策として市は市民を対象に、市内宿泊費の半額(1人1泊当たり上限2万円)を補助。雲仙スカイホテルでは5組約20人が同制度を利用・予約済みで、内田貴志専務(43)は「宿泊客が減っているので、市民の利用はありがたい」と歓迎する。
 一方、「今後収束してもすぐに大々的に宿泊の宣伝をしていいのか分からない」(内田専務)と戸惑いも。温泉街や行楽スポットに客足は戻りつつあるとはいえ、例年と比べると「まだまだ」(複数の関係者)。雲仙温泉街では営業を再開した旅館、ホテルは4割にとどまるなど、日常を取り戻すまでにはなお時間がかかりそうだ。市観光物産課は「観光の際はマスクを着用し、密集を避けてほしい」と呼び掛けている。

満車になった仁田峠展望所駐車場=24日、雲仙市

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