MLB機構の年俸削減案 トラウトは約70%減の大幅カットに

日本時間5月27日、メジャーリーグ機構が選手会に対して年俸削減案の提示を行ったことが明らかになった。ESPNが報じている内容によると、高年俸の選手ほど年俸のカット幅が大きい仕組みとなっており、最低保証年俸クラスの選手が90%の金額を得られるのに対し、2020年メジャー最高年俸のマイク・トラウト(エンゼルス)は30%ほどの金額しか得られない。今回のプランは選手会によって却下される可能性が高いと見られている。

今回メジャーリーグ機構が提示したプランのなかには、82試合制で開催するレギュラーシーズンの日程についても記されている。3週間のスプリング・トレーニングを行い、最終週には各球団3試合ずつ練習試合を開催。そして、7月上旬に開幕して9月27日に終了するスケジュールとなっている。ただし、選手会はもう少し長くシーズンを開催することを希望しているようだ。

選手の年俸については、以下のようなプランが提示されている。

【1】最低保証年俸(56万3500ドル)までの部分は90%を支払う
【2】56万3501ドルから100万ドルまでの部分は72.5%を支払う
【3】100万1ドルから500万ドルまでの部分は50%を支払う
【4】500万1ドルから1000万ドルまでの部分は40%を支払う
【5】1000万1ドルから2000万ドルまでの部分は30%を支払う
【6】2000万1ドル以上の部分は20%を支払う

たとえば、メジャーに昇格したばかりの最低保証年俸の選手は56万3500ドル(約6062万円)の90%にあたる50万7150ドルが今年の年俸となり、82試合制であればこの金額の162分の82にあたる25万6706ドル(約2761万円)を手にすることになる。

一方、高額年俸の選手はかなりの減額を強いられることになり、たとえばトラウトの今年の年俸は3766万6666ドル(約40億5192万円)。まず、これを提示されたプランに従って

【1】56万3500ドル
【2】43万6500ドル
【3】400万ドル
【4】500万ドル
【5】1000万ドル
【6】1766万6666ドル

という6つの部分に分ける。【1】は90%、【2】は72.5%、【3】は50%、【4】は40%、【5】は30%、【6】は20%が支払われるので

【1】50万7150ドル
【2】31万6463ドル
【3】200万ドル
【4】200万ドル
【5】300万ドル
【6】353万3333ドル

となり、これを合計した1135万6946ドルという金額が今年の年俸となる。82試合制であればこれの162分の82にあたる574万8577ドル(約6億1839万円)がトラウトに支払われることになる。

以前、選手会は試合数に応じた割合で年俸が支払われることに合意しており、トラウトは82試合制であれば1906万5843ドルを得るはずだった。しかし、メジャーリーグ機構は無観客でシーズンを開催する場合のプランとして、選手会に対して年俸削減案を提示。今回提示されたプランに従えば、トラウトのサラリーは約69.8%減(1906万5843ドル→574万8577ドル)となる。

3週間のスプリング・トレーニングを実施して7月上旬に開幕するのであれば、6月上旬までにはメジャーリーグ機構と選手会が合意に達する必要があると考えられている。残された時間はそれほど多くないだけに、今後の交渉の行方が注目される。

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