標準予防策の順守でウイルス感染を着実に防ぐ COVID-19患者対応病院で証明 神戸大学

神戸大学の研究グループは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拠点病院となっている兵庫県立加古川医療センターの医療従事者509名の抗体検査を行った結果、対象者全員が抗体陰性であり、新型コロナウイルスへの感染歴がなかったと発表した。この結果により、標準的な医療予防策で、患者から医療従事者へのウイルス感染を防ぎ得ることが初めて明確に示された。

新型コロナウイルスは感染性が高く、COVID-19患者から医療スタッフへのウイルス感染の可能性が懸念されている。感染者の一部は症状を示さないことも知られており、こうした無症候感染した病院スタッフが働くことも、院内感染拡大の大きな原因となる可能性がある。

加古川医療センター(353床)は、国の指定する「第1種感染症指定病院」として、2020年3月11日からCOVID-19患者の受け入れを開始した。本研究では、同センター勤務の医師77人、看護師310人などを含む合計509人から血清を採取し、感染既往を把握するために新型コロナウイルスに対する抗体の検出を試みた。

対象者には、COVID-19患者専用病棟勤務者も含まれていたが、検査の結果、抗体が検出された者はいなかった。つまり、患者に接触したにもかかわらず、医療スタッフ全員が新型コロナウイルスに感染したことはなかったとわかった。

加古川医療センターの医療スタッフは、感染症標準予防策を順守しており、マスクを着用し、各業務の後にアルコールで手指消毒を行っていたほか、PCR検査の検体採取時やPCR陽性患者と接触する際には、完全な個人用防護具を着用していた。COVID-19患者との接触を最長で53日間続けているが、これまでに院内感染が疑われる事例は報告がないこと、そして今回の結果は、新型コロナウイルスに対する標準的な予防策が十分に有用である事を意味している。世界中の医療従事者を大いに勇気づける結果と言えそうだ。

論文情報:

【medRxiv】Diligent medical activities of a publicly designated medical institution for infectious diseases pave the way for overcoming COVID-19: A positive message to people working at the cutting edge

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