SUBARUのスポーツセダンの代表車種である「WRX S4」に特別仕様車である「WRX S4 STI Sport #」が設定されました。今回は500台という限定販売、その魅力に迫ります。
常に完売する人気のコンプリートカー
SUBARUのモータースポーツ部門を担当する「STI(スバル・テクニカ・インターナショナル」はこれまでも世界で数々のモータースポーツに参戦し、高い実績を上げてきた企業です。
このSTIがSUBARUで販売されるクルマをベースに特別なチューニングを施してきたのが「コンプリートカー」と呼ばれるものですが、常に人気が高く、ほとんどが完売するのがこれまでのパターンでした。
昨今では2019年の東京モーターショーで披露されたWRX STI特別仕様車「EJ20 Final Edition」は555台の限定抽選販売に対し、約1万3,000台の応募が入り、その倍率は23.4倍というから驚きです。
ボディカラーは写真の特別設定色「セラミックホワイト」含む4色となります
これまで販売してきたコンプリートカーはそのモデルごとにしっかりとしたコンセプトを立て、専用パーツの搭載や実際のテストでハンドリング性能を磨き上げてきたいわゆる「珠玉の1台」。この流れを汲むのが今回の特別仕様車なのです。
まだ正式発表されていない?
今回販売されるコンプリートカーは「WRX S4 STIスポーツ♯(シャープ)」と呼ばれるモデル。実はSUBARUの公式ページを見ても正式なプレスリリースは発表されていません。しかしサイト内を見ると“ティザー”の形で車両に関する内容が記載されています。
大型のフロントアンダースポイラーと専用グリルを装備します
1.台数は限定で500台
2.7月6日に発表、8月20日から販売開始
3.2020年10月22日まで500台に達した時点で販売終了
とあります。
「何だまだ余裕ありそう」と思った読者の方、正直それは甘い考えです。クルマの詳細は後述しますが、前述したようにこれらのコンプリートカーはとにかく人気で、中古車市場でも高い値段で取引されています。
ブラック塗装された18インチアルミホイール&タイヤも専用品です
実際ディーラーに話を聞いてもすでに問い合わせもかなり入ってきているとのこと。何よりも前モデルのような“抽選”ではなく“先着順”ということで普通に考えても10月22日を待たずに完売すると予想できます。
ピュアスポーツでもAT免許で乗れます
「WRX S4 STIスポーツ♯」は2Lの4ドアセダンである「WRX S4 STI Sport EyeSight」をベースに専用パーツとチューニングを施すことで性能を向上させています。
タワーバーは「WRX S4 STI Sport♯」専用開発品となります
開発者によると1/100秒の応答の遅れはクルマの運転を難しくするそうです。このコンプリートカーはこれまでモータースポーツなどで培われてきた技術等を使い、それらを極力取り除くことで一体感のある走りを実現しています。
コンプリートカーと聞くとガチガチの足回りやエンジン音がそれなりに大きい、などのイメージを抱きがちですが、このクルマはまるで逆。乗り心地だけでなく、静粛性まで高めているのが特徴です。一方でエンジントルクを10%向上させることで加速時のフィーリングやアクセルレスポンスも優れています。
「運転が上手くなるクルマ」という表現はこれまでのコンプリートカーからもイメージできますが、標準装備されるレカロシートやステアリングホイールにウルトラスエードを施すことで「触れる部分」からも上質感を高めていることがわかります。
ホールド性だけでなく快適性にも優れた専用のRECAROフロントシート
何よりもCVT(AT)仕様とすることで誰もがこのクルマの良さを堪能することができます。「長距離を走っても疲れない」「安心して走ることができる」という考えがこのクルマには息づいています。
もしイメージが掴みづらいのであればメルセデス・ベンツのAMGやBMWのMシリーズがわかりやすいかもしれません。ただSTIの手がけたクルマはそれらの欧州車とは異なる手法で走りを磨き上げてきました。
前述したようにこのクルマは完売必至でしょう。SUBARUファンのことをよく「スバリスト」と呼びますが、このクルマはスバリストだけでなく、多くの人にオススメできる1台です(とはいえ500台ですが)。運転して愉しい、そして安全&快適、人にウンチクを語れる。クルマ選びの醍醐味はこういう所にもあるのです。