スポーツ振興くじ「新商品導入を」 超党派議連、コロナ禍で法改正へ

国会議事堂

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、スポーツ振興くじ(サッカーくじ)を通じたスポーツ界の支援強化に、超党派でつくる議員連盟が乗り出している。くじの収益はスポーツ活動への助成に活用されており、今国会でくじの売り上げ増につながる新商品導入に向けた法改正を目指す。議連メンバーの神奈川県内選出議員も「コロナ禍でスポーツ界全体は深刻な危機」と訴え、力を入れている。

 くじを運営する日本スポーツ振興センター(JSC)は、収益を選手の育成や施設整備などスポーツ振興のために活用。貴重な財源となっており、超党派でつくるスポーツ議連は、東京五輪・パラリンピック後を見据えて昨年から新たなくじの導入を議論してきた。

 ただ、新型コロナでスポーツ界を取り巻く状況は一変。議連の幹事長代理で無所属の笠浩史氏(衆院神奈川9区)は「コロナ禍でトップアスリートから青少年、学校現場まで深刻な危機に直面している。支援の必要性はさらに高まっている」と強調する。

 このため、議連では今月、くじの対象にバスケットボールBリーグを追加するほか、1試合だけの結果を予想する新商品の導入を柱にしたスポーツ振興投票法の改正案を策定。新たなくじの発売にはシステム改修などで1年半程度の時間はかかるが、中長期的な収益増につなげたい考えで、議員立法で今国会での成立を目指す。

 「競技の裾野が広いバスケを加えることで、収益拡大とBリーグの新たなファン獲得が期待できる」と説明するのは自民党の三谷英弘氏(比例南関東)。「スポーツは夢や希望を与えるもの。超党派で法改正を実現させたい」と意気込む。

 改正案では、収益を感染症対策などにも使えるよう明記することも盛り込んだ。収益の使途拡大の必要性を訴えてきた立憲民主党の青柳陽一郎氏(衆院神奈川6区)は「条文にしっかり書き込むことで、新型コロナのような危機にも収益を活用した支援ができるようになる」と話している。

 ◆スポーツ振興くじ 現行ではサッカーのJリーグや欧州の主要リーグが対象で、「toto」や「BIG」などがある。2019年度の売り上げは約938億円。収益は選手育成のほか地域の施設整備、スポーツクラブの活動や国際大会開催の助成などに充てられている。19年度の助成決定事業のうち、県内の自治体向けでは15自治体の35事業が交付対象となった。主な事業は▽県立辻堂海浜公園多目的グラウンド人工芝生化(県、決定額3840万円)▽ANAウインドサーフィンワールドカップ横須賀・三浦大会開催(横須賀市、同2957万円)─など。ほかにスポーツ団体への助成がある。

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