前年同月と比べ、刑法犯認知件数は減少

 新型コロナウイルス感染症の影響で、犯罪の発生件数や手口に変化がみられる。今年4月の刑法犯認知件数は255件で前年同月と比べて45件減少。県警はコロナ禍に乗じた特殊詐欺など新たな犯行手口への警戒を呼び掛ける一方、感染リスク低減を図りながら捜査を進めている。
 県警刑事総務課によると、4月に認知した刑法犯255件の内訳は窃盗犯が157件(前年同月43件減)で最も減少幅が大きかった。このほか減少したのは暴行や傷害などの粗暴犯34件(同10件減)、強制わいせつなどの風俗犯2件(同3件減)など。詐欺などの知能犯は23件(同8件増)と違いが出ている。
 同課は「外出自粛に伴い自宅にいる人が増え、その分、窃盗犯の減少につながったのでは」と分析する。
 捜査の現場にも影響が及んでいる。容疑者らに発熱があり、新型コロナの感染が疑われる場合には適宜、PCR検査を実施。検査の実施件数については「個人の特定につながる恐れがある」と公表していないが、陽性者は出ていない。
 県外に在住する容疑者の摘発に携わったある幹部は「取り調べは、まず被疑者の検温から」と説明する。関東から戻った捜査員については、毎日検温させるなど1~2週間程度は体調管理を徹底したという。捜査員の感染防止と、迅速な事件解決の両立が求められている。
 県警生活安全企画課によると、コロナ禍に乗じたとみられる不審な電話・メールなどの相談が寄せられている。内容は「マスクを販売するので希望する場合は返信を」「国から従業員1人に対して50万円が助成される」など。被害は確認されていない。
 同課は「あくまで相談受理であり、もっと多くの不審電話やメールが県内で確認されているはず」とみている。その上で「緊急事態宣言は既に解除されたが、依然として給付金名目の詐欺に警戒が必要。不審に思ったらまずは自治体や警察に相談してほしい」と注意喚起している。


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