選手会がMLB機構へ114試合制などを提案 年俸削減には応じず

日本時間6月1日、メジャーリーグ選手会はメジャーリーグ機構に対して114試合制のレギュラーシーズン開催(現地時間6月30日から10月31日まで)などを含むプランを提示した。シーズン開幕に向けて最大のハードルとなっているサラリー面については、減額には一切応じず、ポストシーズンが中止または短縮された場合にのみ最大1億ドルの後払いを認めることを盛り込むにとどまった。

選手会が提示したプランでは、レギュラーシーズンは6月末から10月末までの4ヶ月間で114試合制となる。また、ポストシーズンについては、選手会、メジャーリーグ機構、ファンのすべてにメリットがあるということで今年と来年の2年間に限り、出場チームを現行の10球団(各リーグ5球団)から14球団(各リーグ7球団)に増やすことが提案されている。

さらに、選手にはプレーするかどうかの選択権が与えられ、健康状態の面で「ハイリスク」と判断された選手または「ハイリスク」の人と一緒に暮らしている選手については、プレーしなかった場合でも給与とサービスタイムの両方が与えられる。それ以外の選手がプレーしなかった場合、サービスタイムは加算されるものの、給与は支払われない。

選手会は3月末の時点で合意した「試合数に比例した給与」を求めており、114試合制の提案には「出来るだけ多くの試合を開催して多くの給与を得る」という狙いがあると見られる。114試合制を成し遂げるためにダブルヘッダーの増加も受け入れる姿勢を示している。

それ以外には、再開されるスプリング・トレーニングの期間中に総額1億ドルの給与を前払いすること、ポストシーズンが中止または短縮された場合のみ年俸1000万ドル以上の選手に対する給与の後払いを認めること、試合中のマイク使用や球場外での特別番組への協力などが含まれ、シーズン中の開催が困難と見られるホームラン・ダービーやオールスター・ゲームをオフシーズンに開催することにも協力的な姿勢を示している。

メジャーリーグ機構に歩み寄る姿勢を示した選手会だが、残念ながら最大の懸案事項であるサラリー面については何も解決していない。選手会はさらなる減額に一切応じない姿勢を貫いているが、オーナーのなかには「選手会がサラリーの減額に応じないのであれば、シーズンを中止した方がダメージは少ない」と考える者もいるという。メジャーリーグ機構が82試合制を提案している点については、新型コロナウイルスの第2波への備えのほか、シーズンが長引いてNBAやNFLと競合してしまうのを避けたいという狙いがあるようだ。

6月末ないし7月初旬に開幕するのであれば、再びスプリング・トレーニングを行うことを考えると、遅くとも今週中にはメジャーリーグ機構と選手会が合意に達する必要があるだろう。開幕を待つファンを置き去りにしてしまっている感は否めず、ファンのためにも、一刻も早く両者が歩み寄ることが求められる。

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