暮しの手帖を創った男、花森安治の著作集『花森安治選集』全3巻刊行!!

暮しの手帖社は、 1948年に大橋鎭子と共に、 雑誌『暮しの手帖』を創刊し、 数々の企画を立ち上げて世に名編集長と呼ばれた、 花森安治の選集を刊行。

2016年、 大橋鎭子が主人公のモチーフとなったNHKの連続テレビ小説『とと姉ちゃん』で、 花森安治(劇中では唐沢寿明さん演じる花山伊佐次)が手がけた企画「商品テスト」や「戦争中の暮しの記録」が再注目された。 翌17年には、 東京の世田谷美術館を皮切りに全国4館を巡回した展覧会「花森安治の仕事——デザインする手、 編集長の眼」が開催され、 表紙画やヴィジュアル的な表現についても新聞や雑誌、 テレビ番組などで立て続けに話題に。

記事の編集・執筆に加え、 誌面をレイアウトして表紙画やカットまで描く編集長とあって、 これまでさまざまな側面から語られてきた花森。 このたびの新刊は、 「暮しの手帖社」とその前身「衣裳研究所」から発表した随筆・評論・ルポルタージュから成る、 花森安治を「読む」三部作。

第1巻では、 これまで、 あまり知られてこなかった花森の一面、 新進気鋭の服飾評論家として活躍した、 戦後間もない『暮しの手帖』創刊前後の作品に焦点を当てている。 花森は、 ミシンがなくても和服地で簡単に作れる「直線裁ちの服」を考案。 知恵と工夫次第であなたはもっと美しくなれると呼びかけた。 また「着るもの」を通して「ほんとうのおしゃれ」とは何かを説き、 戦時中、 もんぺ姿を強いられていた女性たちのおしゃれ心に、 あかるい希望の灯をともしていきた。

本書にはそんな、 当時、 洋装の入門書としても愛された貴重な著作をたっぷりと収録。 会員向け小冊子『衣裳』(1948年第1号刊)ほか、 これまで長らくお目にかけることのなかった、 当社秘蔵の原稿も掲載。

どんなに みじめな気持でいるときでも
つつましい おしゃれ心を失わないでいよう
かなしい明け暮れを過しているときこそ
きよらかな おしゃれ心に灯を点けよう
つつましい おしゃれは
あなたの心ににおう一茎の青い花
あなたの夢に流れるとおい子守唄
そして あなたの日日を太陽へ翔けらせる翼
お友だちよ 歎くのはやめよう
私たちに青春のあるかぎり
私たちには希望がある

© 有限会社ルーフトップ