【新型コロナに負けない!】セニョール小林&マニィ大橋が対談

おうちで映画を楽しもう!③

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 全国の緊急事態宣言は解除されましたが、新型コロナウイルス感染症の収束までにはまだまだ時間がかかりそうです。そのため、対策に関する新情報、影響を受けている地元企業の経済活動や支援の動き、「おうち時間」の楽しい過ごし方等々、読者の皆様が前向きな気持ちになれる情報など、引き続き「新型コロナに負けない!」シリーズとしてお伝えしていきます。

 5月6日付同20日付と2回にわたり、生粋の映画マニアで実は湯田小、湯田中の同級生でもある、セニョール小林さん(tysテレビ山口の番組ディレクターで「ちぐスマ!」等を担当。各種番組出演も多数)とマニィ大橋さん(フリーの映画コメンテーター。yab山口朝日放送「どき生てれび」で映画コーナーを担当)に、「今見たい映画」について対談していただきました。ひとまず最終回となる、その続きをお送りします。

セニョール小林さん
マニィ大橋さん

ノンストップサスペンス! 「新幹線大爆破」

 小林 3本目は大橋君が紹介してよ。

 大橋 僕にとってのイチオシのロード・ムービーは「新幹線大爆破」(1975年/東映)だね。

 小林 大変化球(笑)。まあ、広い意味で言うとロード・ムービーだよね。

 大橋 東京発博多着の新幹線ひかり号に、時速80キロ以下になると爆発する爆弾が仕掛けられて、1500人の乗客が乗ったひかり号がノンストップで博多まで疾走する中、犯人と警察・国鉄(当時)の息詰まる攻防戦が展開する…。高倉健さん、千葉真一さんをはじめ、当時の東映オールスターが出演していて、今観てもすこぶる面白い。

 小林 確かに。「人間の証明」(1977年)、「敦煌」(1988年)、「男たちの大和/YAMATO」(2005年)など多くの大作で実力を示してきた佐藤純彌監督の傑作だと僕も思うよ。あと、物語の設定や展開が、キアヌ・リーブス主演の「スピード」(1994年)によく似ている。

 大橋 てか、そっくり!

 小林 「スピード」の脚本家は、黒澤明監督が書いた脚本、暴走機関車(1985年ハリウッドで映画化。黒澤監督は「原案」としてクレジットされている)を参考にした、と言っているけどね。

 大橋 どこからどう観ても、「新幹線大爆破」だよ(笑)。実は僕、このことについて、「新幹線大爆破」の物語を考えたプロデューサーの故・坂上順さんに直撃したことがあるのよ。高倉健さん主演「ホタル」(2001年)の公開時、山口県に来られて、取材させてもらった時に。

 小林 よく聞けたな。何て聞いたの?

 大橋 「ハリウッド映画に真似されて悔しくないですか?」て聞いたら、「いやいや、むしろ光栄です。実はあの作品は、ハリウッドの『夜空の大空港』(1966年)を観て思いついたので、あちらがあちらなら、こちらもこちらなんです」と笑っておられた。

 小林 ああ、あの、一定の高度が下がると爆発する爆弾が飛行機に仕掛けられる、テレビムービーの傑作の! でも「新幹線大爆破」は、そもそも当時の岡田茂東映社長が、ハリウッドの「タワーリング・インフェルノ」(1974年)みたいなパニック大作を作れ!、と指示して製作された作品だからね。

 大橋 そうだね(笑)。それでその時、僕は坂上さんに「あの映画はメチャクチャ面白いけど、ひとつだけ抗議したい」って訴えたんだよ。

 小林 何て?

 大橋 クライマックスで、ひかり号を「やむを得ず、どこかに止めよう」と国鉄の幹部たちが話をするじゃない?

 小林 ああ、そこか(笑)

 大橋 あの時、関門海峡を越えて福岡県に入って停車させ、もし爆発したら都市部で甚大な被害が出る。だから家も人口も少ない山口県の田園地帯で止めよう、と。それでその場所は下関市の小月、となるんだけど、「小月」の発音が変なんだよね。それで「山口県民としてあれは許せません!」と猛抗議したんだ。

 小林 メチャクチャするなあ。坂上さんと言えば、「野性の証明」(1978年)、「動乱」(1980年)、「鉄道員(ぽっぽや)」(1999年)など東映を支えた名プロデューサーだよ。大橋君が大変お世話になった佐々部清監督のデビュー作「陽はまた昇る」(2002年)も坂上さんプロデュースじゃない。何と失礼なことを。

 大橋 坂上さん、大笑いしながら「それはごめんなさい」と謝ってくださった。でもその時、地方紙記者だった僕に、「君、そんなに映画が好きなら、こちらの(映画を作ったり紹介する)世界においでよ」って言ってくれてね。そのあと、本当にその気になって、坂上さんを慕っていた佐々部監督にお世話になり、会社を辞めて今があるから、あの取材は僕にとっても意味があったと思う。

 小林 いい話にするなよ(笑)。でも、映画ってさ、君と僕にしてもそうだけど、人と人とを繋ぐよね。

 大橋 そうだね。ぜひこの機会に、今回紹介した作品だけじゃなく、いい映画、面白い映画をたくさん楽しんでほしい。

 小林 家族で観た映画について映画談義するのも楽しいよね。

 大橋 あ、「スピード」も大傑作なので、まだ観てない人はぜひ!

 小林 今の坂上さんの話を聞くと、「スピード」も「新幹線大爆破」も、やっぱりパクったとか参考にしたとかじゃなくて、面白い映画の王道を追求したからこそ、の面白さなんだよ。映画人たちが魂を込めて創り上げたそんな面白い「映画」を、今こそ自宅でも堪能しましょう!