従業員も宿泊客も守る 雲仙旅館ホテル組合長 福田努さん(55)=雲仙市小浜町雲仙=

従業員と宿泊客の安全対策に取り組む福田組合長。旅館内ではマスクを外さない=雲仙市、雲仙福田屋

 「雲仙温泉街の宿泊施設から1人でも新型コロナウイルス感染者を出したらアウト」。温泉街全体に及ぶ影響は計り知れず、危機感は強い。緊急事態宣言を受けて休業した旅館、ホテルが全て再開するのは6月以降の見込み。自身が営む旅館「雲仙福田屋」は営業を続けたが、「休んでいる旅館、ホテルも感染予防策を進めている」と強調する。
 「従業員を守るのが大前提で、お客さまに安心安全の宿泊を提供する」。雲仙福田屋ではフロントに飛沫(ひまつ)感染防止のアクリル板を設置した。宿泊客には、入館時に非接触型体温計で検温をお願いしている。
 「お客さまが不快に感じないか」と、当初気乗りしなかった検温。だが、感染拡大に伴う国民の意識の変化を受け、「全員が検温することで『旅館内は安全』という安心感につながる」と考えるようになった。
 収束後も第2波、第3波と続くことを覚悟している。「『with(ウィズ)コロナ』の発想で、質の高いおもてなしと、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)の確保を両立させないと生き抜けない」と、温泉宿の新しい在り方を模索している。

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