稲も“密”避けコストダウン 神奈川ブランド米の田植え最盛期

小雨が降る中、田植えのピークを迎えている県内産ブランド米「はるみ」=平塚市真田

 神奈川県内随一のコメ生産量を誇る平塚市内で、ブランド米「はるみ」の田植えが最盛期を迎えている。米の食味ランキングは2年連続で「A」にとどまるが、再び最高評価の「特A」を獲得しようと、コメ農家が汗を流している。

 小雨が降る中、コメ農家の古屋忠文さん(70)が同市真田の水田で田植え機を走らせていた。稲作を初めて約20年、「はるみは炊きたての香りもいいし、糖度も高い。おいしいと喜んでもらえるコメを作りたい」と話す。

 はるみはコシヒカリとキヌヒカリを掛け合わせ、2014年に品種登録。もっちりとした食感と甘みで16年から2年連続で日本穀物検定協会の食味ランキングで特Aを獲得したが、ここ2年は猛暑と日照不足から不作が続く。

 「高温が続くと乳白化が進み食味も落ちる」とJA湘南の担当者。植える苗の密度を2割削減するなど新たな試みも進める。田んぼも“密”を避けることで通気性を確保し、JA湘南の担当者は「収穫量は変わらずコスト削減になる」と説明する。

 新型コロナウイルスにより学校給食などの消費が落ち込む一方で、家庭用のニーズは高まり直売所での販売量はピーク時で2倍に急増。古屋さんは「自分の子どものように愛情を持って育てている」と胸を張る。

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