中古マンション購入時の注意点は築年数に税金や耐震―その他契約のチェックポイントは?

立地の良い物件を安く購入したい場合は、中古マンションがおすすめです。ただし中古マンション購入の際には、いくつか気をつけたいポイントもあります。中古マンションの購入に伴うさまざまな注意点や契約時のチェックポイントなどを紹介していきます。

《目次》- 築年数は何年がベスト?

築年数は何年がベスト?

中古マンションを購入するときに見ておきたいのが築年数です。もっともリスクが少ないとされているのは、築20~30年のマンションです。

築20~30年がおすすめ

マンションの建物としての価値は、完成してから日を追うごとに低くなっていきます。10年ほどで当初の値段の半額となり、20年前後で底値になるのが基本です。築年数が20年以上になれば価格の下落はゆるやかになり、築30年の物件も40年の物件もそれほど変わらない価格で購入できるようになります。

できるだけ新しく、かつ安価で中古マンションを購入したければ、築20~30年のものを狙うのがおすすめです。底値に近い値段で購入しておけば、いずれ手放すことになったとしても損失が少なく済みます。

また、築20年を超えていれば、立地の良いマンションも安く手に入る可能性があります。駅から近いエリアや都心部などであれば、将来的にも地価が下がりにくいメリットがあります。

さらに、築20~30年であれば、これからも長く住み続けられる可能性があります。マンションの構造や管理状態にもよりますが、長期間住むことを予定しているならこのあたりの築年数で探すと良いでしょう。

新耐震基準の物件かどうかを確認する

中古マンションの価値を見極める際、 耐震基準は重要な要素のひとつ

マンションの価値を見極める際に重要なのが、耐震基準です。建物が新耐震基準によって建てられたか、旧耐震基準が適用されているかによって、物件の価格も変わってきます。

新耐震基準とは

新耐震基準が適用されたのは1981年6月1日からです。それ以前の耐震基準が適用されている物件は、旧耐震基準となります。旧耐震基準の建物は「震度5強程度の地震でほとんど建物が損傷しない」ことを目安につくられています。一方、新耐震基準の物件には「震度6以上の地震にも耐えられる」ことが求められます。

中古マンションが新旧どちらの耐震基準を適用されているか確認したいときは、マンションの建築確認通知書を調べましょう。通知書の発行された日付が1981年6月1日より後であれば、新耐震基準が適用されているはずです。

旧耐震基準の物件のメリット

中古マンションを購入するなら、旧耐震基準のものは避けたほうが良いのでしょうか? 結論からいえば、旧耐震基準の物件は絶対に避けたほうが良い、というわけではありません。旧耐震基準のころに建てられたマンションのなかにも、新耐震基準と変わらない強度を持つものがあります。とくに「壁式構造」でつくられているマンションは「ラーメン構造」のマンションよりも頑丈といわれています。

また、旧耐震基準のマンションは価格が安く、立地の良い場所でも購入しやすいメリットがあります。立地を重視するなら、旧耐震基準のマンションも視野に入れて探したほうが良いでしょう。

マンションの寿命は、管理状態に左右される

築年数はマンションの価値を見極めるのに重要な要素のひとつです。ただし、築浅でも管理状態の悪いマンションを買ってしまうと、その後も長く住めない可能性があります。きちんとメンテナンスされた、管理状態の良いマンションを選ぶのが大切です。

【管理状態のチェック方法1 】 修繕計画の確認

マンションは、国土交通省のガイドラインにより、定期的な「大規模修繕」をするよう推奨されています。マンションの修繕を行うのは管理組合です。費用は住民から徴収した修繕積立金から出します。きちんとした管理組合であれば、大規模修繕を見越した長期修繕計画を立て、定期的な修繕を行っています。過去の工事があった場合は、書面による履歴も残っているはずです。

中古マンションの管理状態をチェックしたいなら、まずは修繕計画について調べるのがおすすめです。「長期修繕計画書」や「重要事項調査報告書」などを見せてもらいましょう。

【管理状態のチェック方法2 】 内覧で実際の状況を確認

ゴミ置き場などの共用部分で、管理状態をチェック

購入予定の中古マンションを内覧する際は、さまざまな部分を見て管理状態の良し悪しを確認しましょう。管理組合が機能している物件であれば、マンションの管理状態も良いはずです。

・ゴミ置き場にゴミがたまっていないか
・廊下や正面玄関などの共有部分が掃除されているか
・郵便受けにたまったチラシがないか
・いつまでも古い掲示物が貼られていないか
・放置されている自転車はないか

などをチェックしてみましょう。

また、上記のような管理が行き届いておらず見た目の悪いマンションだと、防犯面でも不安があります。住んでからのトラブルを避けるためにも、定期的に清掃されているマンションを選ぶのがおすすめです。

修繕積立金、管理費もチェック

マンションの購入後は、物件そのものの金額のほか、毎月「修繕積立金」や「管理費」などを支払うことになります。選んだ物件次第では修繕積立金や管理費が高額になることもあるため、事前にしっかりと確認しておきましょう。

中古マンションの管理費・修繕積立金の注意点

管理費は、マンションの共有部分の管理に使われるお金です。住民が共同で使っている部分の設備費や清掃費、ゴミ処理費などになります。

修繕積立金は、マンションの定期的な修繕に備えて積み立てられるお金です。外壁塗装や配管工事など、建物本体やその他設備のメンテナンスをするために使われます。中古マンションの場合、修繕積立金が新築時より値上がりしている可能性があります。

・新築時は物件を売りやすくするため積立金が低い
・工事費の高騰により修繕費もアップした
・経年劣化による予定外の修繕で費用がかさんだ

などが主な理由です。

修繕積立金の値上げ時期

修繕積立金は、「均等積立方式」と「段階増額積立方式」の2種類の方法で徴収されます。

均等積立方式では、大規模修繕後に次の修繕費用を計算します。次の工事が行われるまでの期間で金額を割って毎月の積立金を算出するため、期間中は値上がりしません。均等積立方式を採用しているマンションなら、大希望修繕が終わったあとに購入するのがおすすめです。その後しばらくは修繕積立金の値上がりがないため、安定して支払い計画を立てられます。

段階増額積立方式では、築年数に応じて積立金の金額が上がっていきます。金額がいつ、どのくらい上昇するかは、契約前に説明があるはずです。最近では、こちらの方式を採用しているマンションが多く見られます。

修繕積立金の未払いの有無をチェック

修繕積立金を滞納している住民が多いと、満足な工事ができず、今後の修繕費用が大幅に値上がりする可能性があります。中古マンションを購入するときは、積立金の未払いがあるかどうかもチェックしましょう。

中古マンション購入に関わる税金に注意

中古マンションを購入すると、さまざまな税金が発生します。どういった税金がどのタイミングでかかるかを知り、適切な支払い計画を立てましょう。ここでは、中古マンション購入の税金に関する注意点をご紹介します。

不動産取得税

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得したときに生じる税金です。購入だけでなく、新築・増改築・交換・贈与などが行われたときにも発生します。ただし、相続された場合は税金の対象となりません。

計算式

(固定資産税評価額-控除額)×税率(3%)=不動産取得税額

不動産取得税額は、固定資産税評価額と控除額によって左右されます。固定資産税評価額とは、固定資産税を決めるときに基準となる金額のことです。自治体によって異なりますが、だいたい土地や建物の時価の70%になるとされています。

また、本来の税率は4%ですが、取得が2021年3月31日までの物件には、特例として3%の税率が適用されています。

控除・軽減について

中古マンションの場合、次の条件を満たせば不動産取得税が軽減されます。

・取得した本人が住んでいる
・マンションの床面積が50㎡以上240㎡以下
・1982年1月1日以降に建てられた、または新耐震基準に適合している

控除額は中古マンションのある都道府県によって変わります。事前に調べておきましょう。

支払う時期・納税先

不動産取得税は、引き渡し後6カ月~1年6カ月のうちに支払います。マンションのある都道府県から通知書が来るため、忘れずに支払いに行きましょう。

所得税

控除・軽減について

住宅ローンを借り入れて中古マンションを購入した場合は、一定の要件を満たせば「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」が受けられます。

2020年5月時点で、控除の上限額は年に40万円です。適用されるのは購入から10年間です。加えて、2019年10月1日~2020年12月31日の間に購入した物件であれば、控除される期間が13年に延びます。

ただし、消費税が非課税となる個人間のマンション売買においては、住宅ローン控除の上限額が年に20万円までになるため注意が必要です。

また、購入する中古マンションは、主に以下の条件を満たしている必要があります。

・築20年以内(耐火建築物なら25年以内)
・床面積が50㎡以上
・新耐震基準に適合している
・生計を一にする親族などからの取得していない
・贈与されていない
・実際にご自身が居住している

ほかにもさまざまな条件がありますが、慣れないうちは調べるのが大変です。マンション購入時、仲介業者やリフォーム会社の担当者に聞いてみるのもおすすめです。

支払う時期・納税先

控除を受けるためには、確定申告を行う必要があります。入居した最初の確定申告時期になったら、忘れずに納税しましょう。会社員の場合は、最初だけ確定申告を行う必要がありますが、2年目以降は会社の年末調整を利用して申告できるケースが多くなります。

個人事業主の方や源泉徴収をされていない方などは、毎年確定申告を行ってご自分で納付します。確定申告の時期までに、まとまった金額を用意しておきましょう。

固定資産税

中古マンションでも、所有し続ける限りは固定資産税を支払う必要がある

固定資産税とは、不動産を所有しているときにかかる税金のことです。中古マンションを購入した場合も、所有し続ける限りは固定資産税を支払う必要があります。

計算式

固定資産税評価額×標準税率(1.4%)=固定資産税

固定資産税評価額は、不動産取得税の計算にも使われる基準額です。マンションのあるエリアや築年数、面積などによって評価額は変わります。

控除・軽減について

固定資産税は、土地と建物の両方に発生します。新築マンションであれば建物部分と土地部分の固定資産税が控除される制度があります。ただし、建物部分の軽減措置は築5年までの物件が対象です。基本的に、中古マンションを購入する場合は建物に対する控除が受けられません。

土地部分の軽減措置は、以下の通りになります。

対象の土地軽減措置小規模住宅用地
(一戸あたり200㎡以下の部分)固定資産税評価額1/6一般住宅用地
(一戸あたり200㎡以上の部分)固定資産税評価額1/3

マンションの土地面積は、敷地の面積を住居の数で割って求めます。建物の固定資産税評価額は、年を重ねるほどに安くなる傾向にあります。築年数の経過した中古マンションなら、新築と比べて固定資産税も安くなるはずです。

支払う時期・納税先

固定資産税は、毎年1月1日に所有していた不動産に対して発生します。納税のタイミングは年に4回です。毎年4月ごろから1回目の納税が行われ、その後3カ月ごとに納付のタイミングが来ます。可能な方は1回にまとめて納税してもかまいません。

納税先は市町村ですが、東京23区にお住まいの場合は都に支払うことになります。支払い時期は自治体によって異なる可能性があるため、あらかじめ調べておきましょう。

都市計画税

都市計画税は、都市計画事業等の費用に使われる税金です。購入した中古マンションが都市計画法にもとづく市街化区域にある場合、都市計画が発生します。

市街化区域とは、すでに市街地となっている区域のほか、だいたい10年以内に市街化するべき区域のことです。マンションの建てられている場所は市街化区域にあたることが多いため、都市計画税を支払うケースがほとんどであると考えておきましょう。

計算式

固定資産税評価額×税率(0.3%)=都市計画税

不動産取得税や固定資産税と同様、固定資産税評価額が基準となります。税率の上限は0.3%ですが、自治体によってはこれより低いことがあります。

控除・軽減について

都市計画税は土地・建物の両方にかかります。建物部分の税金には、原則として控除がありません。土地部分には以下の税率軽減が適用されることがあります。

対象の土地軽減措置小規模住宅用地
(一戸あたり200㎡以下の部分)固定資産税評価額1/3一般住宅用地
(一戸あたり200㎡以上の部分)固定資産税評価額1/2

マンションの場合は、敷地の面積を住居の数で割った面積が適用されます。

支払う時期・納税先

固定資産税とともに納付書が送られてきます。支払うタイミングも固定資産税と同様、年に4回です。納税先も固定資産税と同様、市町村もしくは東京都(東京23区にお住まいの場合のみ)へ支払います。

消費税

中古マンションを不動産会社をはじめとする事業者から購入した場合は消費税が発生します。売主が個人であった場合、消費税はかかりません。

計算式

建物の金額×税率(10%)=消費税

マンションは軽減税率の対象外のため、税率は10%です。土地は消費税非課税のため、事業者から購入した場合も税金がかかることはありません。

また、建物以外にも「仲介手数料」や「事務手数料」、司法書士に支払う報酬などにも消費税が発生します。マンションに移り住むための引っ越し費用や家具の購入費、リフォーム費用なども同様です。

控除・軽減について

・すまい給付金

消費税を直接控除する仕組みはありませんが、増税にともなってさまざまな制度が誕生しています。そのひとつが「すまい給付金」です。条件を満たしていれば、住宅の購入時に最大50万円が支給されます。収入や物件によって金額は異なりますが、年収が低いほど支給金額が高くなるのが基本です。

2014年4月から2021年12月まで行われる予定で、引き渡しもこの期間中に完了しなければいけません。また、購入時に適用されている税率が5%のものは除きます。

・次世代住宅ポイント

消費税率10%が適用される住宅の新築や購入、リフォームなどで活用できるのが次世代住宅ポイント制度です。耐震性の強化や省エネ、バリアフリーなどを実現した住居を対象に、さまざまな商品と交換できるポイントを支給してもらえます。

こちらの制度は2020年3月31日でポイント発行申請の受付が終了する予定でした。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で契約が間に合わなかった方のために、ポイント申請の期間が延長しています。詳しくはホームページをチェックしてみましょう。

中古マンション購入の契約時の注意

中古マンションの購入時は、諸経費や各種税金などが発生します。同時に、購入手段によっては仲介手数料もかかるため気をつけましょう。また。リフォーム・リノベーションを併せて行う場合、借りられるローンも変わってくるため注意が必要です。

仲介手数料に注意

不動産会社などを使って中古マンションを探して購入すると、仲介手数料が発生します。不動産会社は買主に代わって交渉や手続きを行うため、成功報酬として仲介手数料を渡さなければいけません。

仲介手数料の上限を計算

宅地建物取引業法によって、仲介手数料の上限金額は決まっています。手数料の上限は購入額に応じて変わります。

マンションの購入額仲介手数料の上限200万円以下の部分購入額×5%+消費税(10%)200万円~400万円の部分購入額×4%+消費税(10%)400万円を超える部分400万円を超える部分

たとえば、マンションの購入額が1000万円の場合、

(200万円×5%+消費税)+(200万円×4%+消費税)+(600万円×3%+消費税)=39万6000円

が仲介手数料の上限金額となります。

上記のように、仲介手数料の上限を割り出すのは少々手間がかかります。そこで、以下のように簡単に金額を算出できる計算式が使われています。

マンションの購入額×3%+6万円+消費税=仲介手数料の上限

同じように1000万円のマンションを購入したとして計算すると、

1000万円×3%+6万円+消費税=39万6000円

と、先ほどの計算と同様の答えが出せました。ぜひこちらの計算式を活用して、各物件の仲介手数料を算出しましょう。

支払うタイミング

支払いが行われるタイミングは不動産会社によって異なりますが、以下の2パターンが主流です。

・マンションの引き渡し時に全額支払い
・契約時に半額、引き渡し時に半額支払い

仲介手数料は成功報酬として扱われるため、物件が決まる前に支払うことはありません。支払い方法は現金や振り込みなどさまざまです。振込手数料は支払う側の負担になることが多いため、現金支払いを選ぶ方も多く見られます。いずれにせよ、中古マンションの購入時にまとまった金額が必要になるため、事前に用意しておくのが大切です。

リフォーム・リノベーションも併せて検討

中古マンションの状態や希望する条件などによっては、リフォーム・リノベーションが必要になることがあります。マンションを探すときは、大がかりな工事を行うことも視野に入れておきましょう。

リフォーム前の物件がおトク

購入後のリフォームを考えているなら、リノベーション済み物件ではなく、リフォーム前のマンションを選ぶのがおすすめです。とくに間取りにこだわりがあり、理想のマイホームを手に入れたいとお考えの方は、マンション購入に併せてリノベーションを行ったほうが良いでしょう。

また、物件購入費を安価に済ませたい場合もリフォーム前のマンションがおすすめです。リノベーション済み物件は工事費が上乗せされており、売却金額も高めに設定されている傾向にあります。

選べる住宅ローンの違い

リノベ済みの物件、もしくは何も手を加えていない中古物件であれば住宅ローンのみで支払えます。マンション購入に加えてリフォームを行う場合は、住宅ローンとリフォームローンを借りなければいけません。ローンが2種類あると金利の負担も大きくなってしまいます。

ただし、現在はさまざまな融資のプランが出ているため、住宅ローンとリフォームローンを一本化できるケースも多数存在します。ご自分ならどういったローンを借りられるか、チェックしておきましょう。

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