外壁を塗り壁にリフォーム。種類や費用、メンテナンスのコツは? DIYはできる?

マイホームを建てて長い期間が経過すれば、ひび割れや耐震性に不安を感じて「今の外壁のままで大丈夫?」と心配になる方もいるでしょう。このような悩みをお持ちの方は、外壁リフォームで素敵な塗り壁にしてみてはいかがでしょう。

外壁タイルやサイディングもメリットや個性がありますが、おしゃれで温かみがある塗り壁にも注目が集まっています。塗り壁と一言でいっても、種類豊富なパターンとカラーがあり、塗り方次第で印象が大きく変わるので、左官職人としっかり相談して好みやオリジナリティのある塗り壁に挑戦してみましょう。

塗り壁とは?

塗り壁とは、外壁の下地の上に天然の素材を塗って仕上げた壁を意味します。塗り壁に使用される素材は、土、植物、水などを混ぜた自然素材が使用されています。化学物質に過敏に反応してしまう方やアレルギー症状が出てしまう方にも、比較的安心できるといわれ、小さなお子様がいる家庭でも安心できるでしょう。

安全面でのリスクを抑制できることに加え、左官職人がひとつひとつ手で仕上げていくことから、独特の雰囲気や個性が出て自宅をおしゃれにできると注目が集まっています。

外壁の主な種類は「塗り壁」「サイディング」「タイル」

一般的な住宅の外壁は、塗り壁、サイディング、タイルの3種類がおもに用いられています。サイディングとは、セメントと繊維をおもな原料としている外装材です。サイディングはサイディングボートとも呼ばれ、板状の形状をしているものを貼り付けていきます。

サイディングボードは色の種類や模様の種類が豊富であり、北欧風の外壁に仕上げることもできるため、家の見た目がとてもおしゃれに仕上がります。以前まで外壁の主流であったモルタルや他の外壁と比べ、リーズナブルであること、耐水性・耐天候性に優れているなどのメリットがあり、住宅メーカーでの取り扱いも増えてきているようです。

外壁におけるタイルとは、磁器、せっ器などの材質が使用されており、いずれも1000℃以上の高温で焼き固められています。磁器質の外壁タイルは、水を吸収せず耐久性が高いといったメリットがあり、外壁や門柱のリフォームに最も向いているといえるでしょう。タイルは初期費用が高額になるといったデメリットはありますが、立体感があること、高級感のある仕上がりになるメリットもあります。

内装にもおすすめ!湿気対策で和室のリノベにも

和室は湿気がたまりやすく、カビや臭いが気になりますが、塗り壁で湿気対策が可能です。塗り壁は、湿気を吸ったり放出したりする性質を持ち、湿度を適切に保つことができます。

和室に使用される塗り壁には、土壁・砂壁・漆喰壁・西洋風のプラスター壁などがあり、見た目はどれも個性があるため、好みのものを選ぶとよいでしょう。また、触ると砂がざらざら落ちてくるような砂壁の場合でも、老朽化していなければ直接壁紙やクロスを貼ることもできます。昨今注目が集まっている平屋のリフォーム・リノベーションでも、湿気対策がされている塗り壁が多く使われています。

塗り壁のメリットとデメリット

どの外壁リフォームの方法でもメリット・デメリットは付きものです。ここでは、塗り壁を使用するメリットとデメリットを紹介します。他の方法と希望を照らし合わせて、ご自宅に最適なものを選びましょう。

メリットはオリジナリティのあるデザインにできること!

塗り壁は、左官職人が手作業で塗るため、同じ素材を使用していても、まったく同じものはひとつとしてありません。塗り壁の仕上げパターンには、ハケでラインを引いたものや和風に見せるパターンなどがあり、希望や家の雰囲気に仕上げてもらうことができます。

一般的なパターン以外にも、自身が考えたオリジナルのデザインに対応してくれることがあるので、職人に相談してみるのもいいでしょう。

値段が高く、ひび割れが起こりやすいというデメリットも

塗り壁は、上記で紹介したサイディングの外壁と比べて費用が高額になります。塗り壁の素材そのものは高額ではないものの、職人による手作業であることから工賃が割高となるでしょう。

また、汚れが目立ちやすいこと、ひび割れが起こりやすいといったデメリットがあります。耐久性については、職人の技術力により左右する面もあるため、熟練の職人による確かな作業と技術力が必要です。

塗り壁の種類

一見どれも同じように見える塗り壁材ですが、使用する素材の価格や特性に違いがあることをご存じですか?塗り壁材選びはマイホームの耐久性などを大きく左右するものなので、お財布や今後住む年数などを考慮しながら、じっくりと選びましょう。

ここでは、おもに塗り壁の材料として使用されている漆喰、珪藻土、ジョリパットの3種類の特徴について解説します。

漆喰

昔ながらの住宅の外壁に使用されている漆喰は、石灰石を原料とする独特の白色が特徴です。漆喰のメリットとして、防火性・防音性に優れていること、殺菌性が高くカビがつきにくいことがあります。

デメリットとしては、漆喰を塗る技術が必要であることから、工賃が高くなることと、工期がかかってしまうことです。できるだけリーズナブルに抑えたい方は、別の種類の壁がおすすめですが、漆喰にこだわりを持ち、和の雰囲気に仕上げたい方は、漆喰で美しい白色を施すのもよいでしょう。

珪藻土

昨今、マットやコースターとしても使用されている珪藻土は、藻の一種である珪藻の殻が化石化したものです。珪藻土はメーカーにより混合する原料が異なり、珪藻の他にさまざまな原料・素材が使用されています。珪藻土のメリットとして、漆喰よりも湿気を吸う力が大きいため、外壁よりも寝室やリビングなどの内装に使用するのがおすすめです。

デメリットとしては、触れると珪藻土がぽろぽろと落ちてしまうこと、カビが生えやすいことがあります。これらのデメリットを解消するために、漆喰などの別の素材を混ぜて、耐久性やカビの発生を抑える独自の配合をしているメーカーもあります。

ジョリパット

ジョリパットは、近年外壁のリフォームでよく使用されており、アクリル塗料のなかに細かい砂などを混ぜたものです。ジョリパットのメリットとして、漆喰のような熟練の技術が必要ないことと、耐久性に優れていることがあります。白色・黒色・グレー・ベージュといったさまざまなカラーやデザインが豊富で、塗り壁らしい温かみを感じられるでしょう。

デメリットとしては、汚れが付着しやすいといったことがあります。ジョリパットで模様を描くと、凹凸ができてしまうため、そこに汚れが溜まりやすいのです。外観をきれいに保つには、定期的に汚れを落とすことが必要となるでしょう。

塗り壁の主な仕上げパターンは9種類

どんな「仕上げパターン」にするかは、自宅の第一印象を大きく左右するので、後悔のないデザインをチョイスしたいもの。シンプルな仕上げから和風・洋風テイストのものを含む9種類のパターンがあります。

コテ波

コテ波とは、塗り壁材をコテで塗ったあと模様などを施さない仕上げパターンです。仕上げパターンのなかでは最もスタンダードではありますが、コテの跡の残し方は職人の技術力や個性が出るので、塗り壁ならではのオリジナリティを感じられるでしょう。

ハケ引き

ハケ引きは、市販品のブラシを使用してラインを引く仕上げパターンです。ブラシの種類によりパターンも少し異なるため、独特の雰囲気を感じられるでしょう。和室などの塗り壁に施せば、和を感じる上品な壁に仕上がります。

コテバケ

コテバケとは、ホームセンターなどで売られている便利な塗装アイテムです。面で塗料を均一に塗れるメリットがあり、ハケよりも大きな範囲でラインを引けることから、ラインを用いた独特のパターンの仕上げができるでしょう。

扇仕上げは、漆喰の外壁などに施されることが多い仕上げパターンです。その名の通り、扇形(半円)をいくつも重ねて描くパターンであり、バランスよくきれいに仕上げるには職人の技術が必要となります。和風テイストなおしゃれな空間に仕上げたい方は、プロに扇仕上げをまかせてみましょう。

スポンジローラー

ホームセンターで部材が集められて、DIYで取り入れやすい、比較的簡単にできるのがスポンジローラー仕上げです。一見簡単そうに見えるスポンジローラーですが、下地をきれいに仕上げていなければ、見た目が悪くなってしまうことも。

スパニッシュ

スパニッシュ仕上げとは、コテの角をうまく利用して模様をつける洋風の仕上げパターンです。DIYに不慣れな方には仕上げが難しいため、外壁をスパニッシュ仕上げしたい時はプロの職人に依頼しましょう。洋風の住宅の外壁に施せば、一気に雰囲気が増しておしゃれに仕上がります。

スタッコ

スタッコ仕上げは、洋風な外壁をイメージした仕上げパターンです。吹き付け塗装でのスタッコ仕上げも可能ですが、手で仕上げていくのは職人のセンスと技術が特に大きなポイントとなります。DIYでのスタッコ仕上げは難しいかもしれませんが、ヨーロピアンテイストで垢抜けた印象となるので、ぜひプロにまかせましょう。

ゴムローラー

ゴムローラー仕上げは、スポンジローラー仕上げ同様の方法で仕上げるパターンです。ローラー部分の形状によりさまざまなパターンで仕上げられますが、塗り壁材を均一に塗らなければうまく仕上がりません。こちらもホームセンターで購入できるので、DIYに自信がある方は挑戦してみるのもよいでしょう。

マーブル

その名の通り、2色の塗り壁材をうまくあわせて塗る仕上げパターンです。配色パターンと技術力、センスが問われる仕上げでもあり、DIYでは難しいかもしれませんが、プロにまかせれば愛着の湧く独特の仕上げとなるでしょう。職人と相談をしながら、世界にひとつだけの素敵なマーブル仕上げができるかもしれませんね。

外壁を塗り壁にする際にかかる費用の相場は?

外壁を塗り壁にリフォームする費用の相場について、明確なものはないといえるでしょう。それは、どの塗り壁材を使用するか、坪数(外壁面積)、どの仕上げをするかにより異なることにくわえ、業者により工賃や諸経費が大きく異なるからです。

外壁の工事となると、塗料や工賃の他に、足場設置と解体、シーリング、養生、洗浄などの費用がかかります。有名価格比較サイトである「価格.com」では、モルタルからサイディングにリフォームした際には230万円の費用がかかった例が掲載されています。

一例ではありますが、延床面積30~45坪(壁面積約100~150平方メートル)の二階建て住宅を、モルタルからサイディングへ変更する場合は180万~300万円がひとつの目安となるでしょう。

メンテナンス・補修方法

外壁の塗り壁のメンテナンスは、漆喰、珪藻土、ジョリパットいずれの場合も、水洗いは向いていません。汚れが付いてしまった場合、水をかけて洗い流すのではなく、サンドペーパーで少しずつ削ったり、水を絞った雑巾などで拭き取ったりするのがよいでしょう。サンドペーパーでこすると表面の質感が変わってしまうので、一度でこすって仕上げるのではなく、小さな範囲から様子を見ながら進めていくことをおすすめします。

塗り壁の補修については、ちょっとしたひび割れなどであればホームセンターで販売しているスプレーや補修材を目立たない程度に塗るとよいでしょう。自分で補修するのが不安な方や、自分では補修できない程度の傷や汚れの場合は、まずはプロに相談することをおすすめします。自分で補修をしてしまうと、その部分だけが悪目立ちしてしまう可能性があるので、費用がかかりますが職人に依頼するのがベストといえるでしょう。

そのまま放っておくと、外壁の日々から雨水が浸入して家の基盤が腐食、将来的には台風や地震により倒壊してしまうかもしれません。大切なマイホームに末永く暮らすためには、外壁のメンテナンスや補修を怠らないようにしましょう。

メンテナンスフリーといわれる外壁塗装もありますが、まったくメンテナンスや補修をしなくてよいわけではないのです。メンテナンスの手間がかからない、既存の塗料よりも耐久性が高いことを意味するので、漆喰・珪藻土・ジョリパット同様のメンテナンスが必要となります。

業者選びの注意点

安心して依頼できる業者を探す時は、以下の6つのポイントを重視しましょう。

・複数の業者で見積もりをとる(相見積もり)
・見積書の価格に透明性がある
・確かな施行実績がある
・webサイトなどで実績、会社概要などをチェックする
・契約を急かす、相場よりも大きく離れている、塗り壁材の誇大表現をするなど、あきらかに怪しい部分がある
・確かな技術があり評判の高い左官職人がいる会社

大きな費用をかけて行う外壁塗装は、どの業者でもよいわけではなく、「失敗したくない!」と思いますよね。外壁工事をする業者には、大手リフォーム会社、ハウスメーカー、フランチャイズ企業、完全自社施工をする会社があります。

完全自社施工以外の会社に依頼する場合、実際に外壁工事するのは下請け企業であるため、そのぶんマージンが発生して、出費がかさんでしまうでしょう。大手メーカーに依頼するメリットとしては、ブランド力に安心感があることや、下請け業者を多数抱えていることから、希望の日程に対応してくれる確率が高いことなどが挙げられます。

どのような業者に依頼するかについては「絶対にここがいい!」とったことはなく、どこも一長一短といえるため、複数の業者と直接話をして決めましょう。

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