「1000年に1度の大雨」兵庫県、全680河川の浸水想定 神戸で水深最大5メートル以上

 兵庫県は県内680の河川について「1000年に1度」クラスの大雨がもたらす洪水や浸水の被害を想定し、マップに示した。

 「1000年に1度」クラスの大雨とは「1年の間に発生する確率が1000分の1」という想定。2015年に水防法が改正され、従来の「30~100年に度の大雨」から想定を引き上げた。2016年6月から県が新たに作成、2020年5月に4回目(最終)を公表した。 今回は神戸・但馬・丹波・淡路の6市2町を流れる86の河川が対象。

 神戸市の天上川流域(東灘区)では9時間で644ミリの雨量にのぼり、1.9平方キロメートルが浸水すると想定。この流域近くで「ほぼ浸水しない」という想定だった阪神電鉄・青木駅前で浸水の深さを1.5メートルに変更した。さらに阪急電鉄・岡本駅北側での浸水の深さが最大3.8mと想定。建物の2階にあたるという。

天上川(神戸市東灘区 近隣住民提供)

 神戸市内ではこのほか、塩屋谷川水系(垂水区)の浸水面積が約140倍となった。浸水の深さは5.7メートルにのぼる。

 最も浸水面積が広いのは、新温泉町・岸田川水系で8.9平方キロメートル。浸水の深さが最大となったのは矢田川水系の香美町村岡区長瀬で10.8メートル。浸水が続く最長時間は、竹野川水系・豊岡市竹野町下塚の70時間だった。

■「見える化」と「語り継ぐ」必要性を~神戸・都賀川水難事故を教訓に

 2008年7月28日午後、「ゲリラ豪雨」による天候の急変で激しい雷雨となり、神戸市灘区の都賀川で水位が約10分間で約1.3メートル上昇、水遊びなどをしていた子ども3人と大人2人が濁流に巻き込まれ犠牲になった事故があった。

水位が増した都賀川(神戸市灘区 関係者提供)

事故を受けて7月28日を「子どもの命を守る日」に 実行委員会を立ち上げ、河川の安全について問い続ける代表の谷口美保子さんは「県内の河川の洪水や浸水の被害状況が示され、ハザードマップやホームページで一般市民に広く伝えられるようになることは有益だ。しかし、災害時にその情報をもとに私たち市民が危険と認識して避難するには、日頃から洪水や水害に対する危機意識や防災意識を高めておくことが必要。規模の大小にかかわらず、水害に対する危険性を察知できるように啓発活動も同時に行われることも重要だと思う。また、1000年に一度という規模の災害になると次の世代へどのように伝え続けていくかも考えなければならない」と訴える。

 兵庫県は2020年8月までに、新しい想定を基にしたCGハザードマップを作り、県内各市町に同様のハザードマップの作成を促す。

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