中日の“1回10失点ルーキー”橋本、わずか3日で別人の快投 鬼と仏の与田マジック

マスク姿で試合前の練習を見守っていた中日・与田剛監督(右)【写真:宮脇広久】

中日のレジェンド・岩瀬仁紀投手の背番号13を継承、期待大の即戦力左腕

2日の試合で1イニング10失点と大炎上した中日のドラフト2位ルーキー・橋本侑樹投手(大商大)が、中2日の5日、メットライフドームで行われた西武との練習試合に登板。1イニングを3人でピシャリと抑えた。期待の新人にリカバリーのチャンスを与えた与田剛監督は、7年連続Bクラスの汚名返上へ向けて戦力の底上げを目指す。

橋本は2日に神宮球場で行われたヤクルトとの練習試合の4回に2番手として登板。なんと1イニングで8安打2四球、味方の2失策も絡み打者14人で10点を失った。与田監督はあえて5回も続投させ、先頭打者を打ち取ったところで降板させた。

最速149キロを誇る即戦力左腕の橋本は、プロ野球史上最多の通算1002試合登板、407セーブの金字塔を打ち立て2018年限りで引退した岩瀬仁紀投手の背番号13を継承。その一点だけでも期待の大きさがわかる。実際、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオープン戦、練習試合が休止される前は、デビューから6試合連続無失点と順風満帆だったが、長いブランクを経て一変してしまった。

鬼の続投指令のあと、ルーキーへのフォローも欠かさなかった与田監督

崖っぷちで迎えたこの日は8回に登場。ベテランの栗山を遊ゴロ、左打者の戸川を内角スライダーで見逃し三振に仕留めると、続く木村には146キロ速球でバットをへし折り三ゴロに切って取った。「神宮ではランナーを出してから力んでしまい、ストレートもスライダーも高めに抜けてしまっていた。今日は低めを意識して、しっかり投げられました」ときっちり反省を生かし、「中継ぎは打たれた次の試合が大事になると思うので、しっかり抑えられてよかったです」と胸をなでおろした。

「(前回登坂とは)コントロール、高低が全然違ったでしょ。1軍の投手コーチたち(阿波野、赤堀両コーチ)とちゃんと反省した中で、いろいろ取り組んでいる。原因がわかって次に改善できればいい。投球フォームのバランスとか、いろいろなことに今日取り組んでいたと思う。こういうことの繰り返しじゃないかな」と評した与田監督。指揮官自身も、前回めった打ちされた橋本に「原因をしっかり究明して、次はしっかり抑えていこうな。体に問題がなければ大丈夫だよ」と声をかけフォローしたという。

就任2年目の与田監督だが、チームは高木守道監督時代の2013年以降、谷繁元信監督、森繁和監督に続き、5位に終わった昨季まで4代にまたがり7年連続Bクラスに沈んでいる。選手1人1人を丁寧に戦力に仕上げていくことが求められている。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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