壁紙リフォームの費用相場は?おしゃれな施工例を紹介

お部屋の印象を大きく左右する壁紙は、定期的なリフォーム(張り替え)が必要です。壁紙にはさまざまな種類・グレード・価格帯の製品があります。適切な選び方を知っておくと、リフォーム時に役立つでしょう。今回は、壁紙リフォームの基本知識や費用相場に加え、場所別に最適な壁紙の選び方を紹介します。

≪目次≫- 壁紙リフォームの費用相場・交換時期は?

壁紙リフォームの費用相場・交換時期は?

まずは、一般的な壁紙の交換時期と費用相場についてお話します。これから壁紙リフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。

平均は1㎡あたり1000~1500円+廃材処分費や作業料金、天井分

壁紙リフォームの費用は、「材料費+工事費+諸経費」の3点で算出されます。材料費とは、壁紙の本体価格です。グレードによるものの、平均価格は1㎡あたり1000~1500円となります。工事費は、壁紙リフォームにともなう作業料金です。養生費・下地処理費・家具移動費などに加え、廃材処分費が加算されます。

主な工事費 内容 費用相場 養生費 床や壁を保護するために必要な費用 約5000円 下地処理費 下地材の汚れを落としたり、傷・凹みを修復したりする費用 約1万円 家具移動費 既存の家具を移動するための費用 約2000円 廃材処理費 剥がした壁紙を廃棄処分するための費用 約2000円

いずれも施工面積に比例し、金額は大きくなります。さらに総額費用の数%が諸経費として加算されます。同時に天井の壁紙を交換する場合は、天井分の材料費+工事費がかかるためご注意ください。

「帖」と「m」と「㎡」の表記の違いに注意

多くのリフォーム会社は、料金表に「帖(じょう)」という表記を用います。こちらは不動産情報サイトなどで見られる「畳(じょう)」と同義語で、床面積を示す単位表記です。通常、「○帖あたり一律○○円」という形で料金表や見積書に記載します。

ただ、実際の施工面積は天井の高さで決まります。たとえ「6帖あたり一律3万9800円」という料金であっても、天井の高さによっては、追加費用が発生することがあります。また、“一律”が天井クロスの張り替え費用を含むのか、含まないのかも重要です。見積もり段階でしっかりと確認しておきましょう。

表記については、「m(メートル)」と「㎡(平米)」も混同される傾向にあります。「㎡」表記は、文字通り1㎡あたりの費用です。ここで注意したいのは「m」のほうです。

例えば、見積書に以下の記載があるとします。

  • (例1)壁紙材料費:1000円/m
  • (例2)壁紙材料費:1000円/㎡

一見すると同じ費用に思えるかもしれませんが、上記を「10㎡あたりの壁紙材料費」に換算してみましょう。

  • (例1)10㎡あたりの壁紙材料費:1万2000円/m(0.9㎡×12)
  • (例2)10㎡あたりの壁紙材料費:1万円/㎡(1.0㎡×10)

ご覧のように「m」で換算した壁紙材料費のほうが割高となりました。なぜなら、一般的な壁紙の横幅は90cmのためです。1mの壁紙は「100cm×90cm=0.9㎡」となるため、10㎡分を確保するには、より多くの量(長さ)が必要となります。結果、表記の違いで金額差が生じます。複数の業者から合い見積もりを取る場合、単位の表記が各社で異なるかもしれません。漏れなく確認しましょう。

交換時期は5年が目安

壁紙の交換時期は、5年が目安といわれます。ただ、壁紙は想像以上に劣化の早い建材です。家族に喫煙者がいたり、水回りの壁紙であったりする場合は、早めの交換をおすすめします。

とくに以下のような状態が見られたら、壁紙の交換を検討しましょう。

・大きな汚れ、シミがある
・色あせが目立ってきた
・表面のケバ立ち、たるみ、シワが増えてきた
・つなぎ目が汚れている
・つなぎ目に隙間ができている
・防水機能、消臭機能がなくなってきた

とりわけ注意したいのは、つなぎ目の汚れです。ビニールクロスなどの壁紙は、経年劣化とともに「収縮」します。つなぎ目はどんどん開いていき、そこに汚れが溜まっていきます。もしつなぎ目の汚れが目立つようであれば、交換時期が近いとお考えください。

築年数が30年以上だと別途費用がかかる場合も

築年数30年以上の住宅は、経年劣化により下地が傷んでいる可能性があります。そのため、状況に応じて下地補修または下地張り替えが必要です。補修は別途2万~3万円、張り替えは大がかりな工事をともなうため、別途10万~15万円の追加費用が発生します。なお、軽微な補修においては、基本料金に処理費用を含める業者もいます。

壁紙のグレードの違いと費用相場

白を基調とした壁紙でも、石目調のタイルをはることでアクセントに

壁紙のグレードは2種類、「スタンダードクロス」と「ハイグレードクロス」に大別されます。まずは、グレード別の費用相場をご覧ください。

リフォーム箇所 グレード 費用相場(6~8帖) 壁+天井 スタンダードクロス 約4万~6万円前後 壁+天井 ハイグレードクロス 約6万~8万円前後

「壁4面+天井」の壁紙を張り替えた際の費用です。グレードの違いによる金額差は2万円程度で、これらに工事費と諸経費を加算します。

スタンダードクロスは4万~6万円台(6~8帖)

スタンダードクロスとは、一般住宅で使用される標準品質の壁紙を指します。現在流通するスタンダードクロスは約70種類以上です。デザインの傾向としては、色やベージュを基調としたシンプルな柄が多く見られます。特徴は以下の通りです。

・量産型である
・安価で使い勝手に優れる
・オーソドックスなデザインが多い

スタンダードクロスの価格相場は、1㎡あたり1000~1200円です。6~8帖のお部屋をリフォームした場合、工事費・諸経費含めて約4万~6万円前後の費用がかかります。

ハイグレードクロスは6万~8万円台(6~8帖)

スタンダードクロスの上位互換という位置付けで、別名“(※1)1000台”と呼ばれる壁紙です。織物調・タイル調・レンガ調・コンクリート調など、多彩な色・柄の製品が流通しており、インテリア重視のお部屋に最適です。

・デザインバリエーションが豊富
・さまざまな機能に特化した製品がある
・価格はやや割高

デザインはさることながら、機能性重視の製品が多いのも特徴です。例えば、防水・撥水・防炎・防汚・防音・消臭といった、さまざまな機能を備えています。機能性から壁紙を選べるのも、ハイグレードクロスならではの魅力です。

スタンダードクロスに比べ、1㎡あたり1500~2000円と本体価格はやや割高です。6~8帖のお部屋をリフォームした際は、工事費・諸経費含めて約4万~6万円前後の費用がかかります。

部屋別の費用相場と壁紙の選び方

壁紙選びのヒントと費用相場をご紹介します。リビング・ダイニング・トイレ・洗面所・キッチン・廊下と部屋別でご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

壁紙選びの基本的な考え方

まずは、壁紙選びの基本的な考え方を抑えましょう。「デザイン→機能性」の流れで選ぶのがポイントです。

1.リフォーム後のお部屋をイメージする

2.ドアや床材を考慮し、壁紙の基本色を決める

3.壁紙のサンプルを確認する

4.床材・壁・天井の配色バランスを考える

5.必要な機能を考える

家族との過ごし方や設置する家具を考慮し、リフォーム後のお部屋をイメージしてみましょう。インテリアカタログをチェックしたり、住宅展示場に足を運んだりすると、何らかのヒントが得られるかもしれません。

次に、既存のドアや床材から壁紙の基本色を決めます。例えば、ダークブラウンの床材にグレー系の壁紙を合わせると、上品でシックな印象にまとまります。お部屋の統一感を意識し、基本色を決めるのがコツです。サンプルについては、リフォーム会社などで現物を直接確認しましょう。カタログも参考になりますが、実際の色調よりも淡く見えることが多いようです。ある程度絞り込んだら、床材・壁・天井の配色バランスを考えます。

・「床→壁→天井」の順に明るい色を合わせる
・暗い色を合わせる

以上の2パターンが主流です。前者は空間の広がりを演出でき、後者は落ち着いた雰囲気になります。

最後に機能性です。例えば、ペットや子どもがいるご家庭なら、防汚機能や防水・撥水機能、防音機能は欲しいところ。家族のライフスタイルを意識して、必要な機能を考えてみましょう。

【リビング・ダイニング・寝室などの居室】インテリアに合わせて落ち着くカラーを選ぶ

リビング・ダイニング・寝室においては、「落ち着いた空間づくり」が重要となります。インテリアを考慮した上で無地のグレー系や、ベージュ系の壁紙を選んでみましょう。もしお部屋が単調に感じられるなら、一部分の色・素材を変えて「アクセントクロス」を取り入れるのも有効です。

【トイレ】抗菌タイプの壁紙で清潔に

トイレの壁紙は、「清涼感を演出するデザイン」が最適です。そのため、明るめのグリーン系や、リーフ柄をあしらった壁紙をおすすめします。加えて、トイレは汚れ・匂いが生じる場所でもあります。抗菌タイプの壁紙に張り替え、清潔な状態を保ちましょう。

【洗面所】防カビ機能があり、拭き掃除がしやすいタイプを

洗面所は床面積の関係から、やや窮屈に感じる場所です。したがって、ホワイト系や暖色系(ピンク・オレンジなど)の壁紙で圧迫感を軽減しましょう。特に窓がない洗面所では、明るい色の壁紙で開放感を演出したいところです。また、洗面所の壁紙は機能性も重視されます。お手入れが簡単なラミネート加工の壁紙、防カビ機能を備えた壁紙がおすすめです。

【キッチン】フィルム汚れ防止・抗菌タイプがおすすめ

毎日使うキッチンには、汚れが付きにくく衛生的な「フィルム汚れ防止・抗菌タイプ」の壁紙がおすすめです。デザインは無地が基本ですが、柄物を選ぶ際は家電・インテリアとの調和を意識しましょう。また、コンロ周りの壁紙は「不燃認定」を受けた防火性の高いものを選んでください。

【玄関・廊下】ウレタンコートの壁紙で落ち着いた印象に

玄関と廊下には、耐衝撃性・耐摩耗性に優れる「ウレタンコート」の壁紙がおすすめです。通常の壁紙に比べてお手入れしやすく、物がぶつかっても傷付きにくい特徴があります。デザインに関しては、淡色のホワイト系、ベージュ系の壁紙がマッチするでしょう。落ち着いた雰囲気ながらも、広々とした印象を与えます。

【和室】クロスに交換するならデザイン重視

通常、和室には砂壁や土壁が用いられます。もしクロスに交換するなら「デザイン重視」で壁紙を選びましょう。例えば、塗り壁を再現した砂壁調・土壁調・漆喰壁調の製品や、和紙を用いた壁紙もあります。いずれも畳・ふすま・障子・床の間との調和を意識し、上品な仕上がりを目指しましょう。

壁紙リフォームのコツ

大胆なカラーを壁紙にするなら床とのバランスが重要。トーンを合わせることでまとまった印象に

壁紙リフォームを成功させる2つのコツをご紹介します。床や家具、照明との調和を意識した上で、統一感あるお部屋を目指しましょう。

一部だけではなく全体の交換がおすすめ

汚れ・剥がれ・色合わせなどの理由から、壁紙を部分的に張り替えたいという場合もあるでしょう。しかし、一部の壁紙を新しくすると、交換しなかった壁紙の劣化が目立ちます。さらに色・柄のバランスが悪くなり、お部屋の統一感が失われてしまいます。そのため、壁紙リフォームを行う際は、全体的に交換することがおすすめです。

床の色や照明、家具との調整も忘れずに

壁紙リフォームを成功させるには、入念な下準備が必要です。施工後に二度手間とならないよう、個人でできることは済ませておきましょう。例えば、リフォーム前に家具の移動作業を行う、家具・家電・照明の買い換えを済ませる、などが挙げられます。また、壁・天井と同時に床リフォームを実施するのもひとつの手です。床の色や素材を考慮して壁紙を選べるため、より理想的なお部屋に仕上がるでしょう。

壁紙フォームの失敗談と対策

壁紙リフォームの仕上がりは、実際に工事が終わるまでわかりません。こちらでは、典型的な壁紙リフォームの失敗談や、その対策方法をご紹介します。

代わり映えのないデザイン

無難な色や柄の壁紙にした結果、「リフォーム前と何も変わらない…」となることが多々あります。壁紙が新しくなったとはいえ、代わり映えのないデザインでは、リフォームならではの変化が楽しめません。色はともかく、重要なのは柄です。例えば、オーソドックスなベージュ系の壁紙でも、「地模様」があるだけで印象は異なります。多少の変化を求める際は、壁紙の柄に着目し、検討してみましょう。

派手すぎて落ち着かないデザイン

「リビングの壁紙が派手すぎて居心地が悪い…」。こちらは、柄物の壁紙を選んだ時に多い失敗談です。通常、リビングなどの広い部屋に小さい柄の壁紙を張ると、柄の主張性が強くなります。柄物の派手さが際立ち、目にうるさい印象を与えるためです。対策として、広い部屋には大きな柄の壁紙を、狭い部屋には小さな柄の壁紙を選ぶと良いでしょう。事前にサンプルで柄のサイズを確認してください。

電気のスイッチや窓枠の汚れが目立つ

「照明の黄ばみやスイッチの汚れが目立つ…」というケースも見られます。もし新築住宅でなければ、壁紙リフォームと同じタイミングで、家電や天井の照明器具の交換を検討しましょう。これは窓枠・ドア枠も同様です。汚れを目立たせたくない場合は、白い壁ではなく、ベージュ系の壁紙にすると違和感がなくなります。

壁紙交換後にエアコンなどの家電の跡が悪目立ちした

「せっかく張り替えたのに、冷蔵庫やエアコンの跡が気になる…」。これは壁紙リフォーム後に家電を交換し、設置箇所に「ビス穴」や「取り外し跡」が残った失敗談です。壁紙を部分的に張り替えたり、ビス穴をパテで埋めたりして改善できますが、補修箇所の“浮き”が目立つかもしれません。どうしても気になる場合、再度すべての壁紙を張り替える必要があるでしょう。

細かいホコリで機械が壊れた!

「リフォーム後にパソコンが動かなくなった!」という場合、施工時に発生したホコリが原因かもしれません。壁紙リフォームでは、見た目以上にチリ・ホコリが舞います。それがパソコンに入り込み、故障を招いた実例もあるようです。リフォーム後もしばらくはホコリが発生するため、精密機器や家具・家電は、事前に移動させておきましょう。

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