【新型コロナ】朝市の活気再び 常連客と再会、密回避へ工夫も

約3カ月ぶりに再開し、多くの買い物客でにぎわう三崎朝市=三浦市三崎

 新型コロナウイルスの感染拡大で休止を余儀なくされていた神奈川県三浦市内の朝市が7日、約3カ月ぶりに再開した。この日を待ちわびていた買い物客は、マグロや地場産野菜などの旬な商品を買い求めて大勢来場し、出店者は久しぶりの客との触れ合いに感激もひとしおの様子だった。

 「はい、いらっしゃい」「ホウボウ安いよ」「甘くておいしいですよ」

 三崎朝市では、約20の出店者がマスクやフェースシールド越しに、威勢よい声を響かせた。

 15年来の常連という出口正志さん(62)、直美さん(59)夫妻は「煮付けにしても、しっとりしておいしいんです」とマグロのブロックを購入。大和市から足を運んだ川中義雄さん(65)は、野菜などを手に「良い買い物ができた」と喜んだ。

 「朝市やお客さんのありがたみを感じた」。ユリやカーネーションなど100種以上を扱う生花業石渡ゆり子さん(73)は、しみじみと話す。この3カ月間で売り上げは6割ほど落ち込んだ。この日、「常連客と『会いたかったね』と声を掛け合った」とうれしそうに語り、「これから朝市の活気を取り戻していきたい」と意気込んだ。

 新玉ねぎや小松菜など旬の農園野菜を並べた長谷川清志さん(47)も「久々なのに、(客が)たくさん来てくれた」と感慨深げ。「野菜はすくすく育っている。感染予防に努め、旬物を常に提供できるようにしたい」と力を込めた。

 一方、約10店が鮮魚や夏野菜などを販売した金田湾朝市には、開始前から約80人が列をなしたという。感染予防策として、入場者数を20人までに制限し、客に並ぶ際は距離を取るよう呼び掛けた。店主らと客の間に透明のビニールシートを張って飛沫(ひまつ)防止にも努め、客が逆流しないように入り口と出口を1カ所ずつにした。

 感染第2波は、朝市が再び休止に追い込まれかねないだけに、関係者の不安も小さくない。三崎朝市協同組合の石渡秀樹理事長は「お客さん同士が密にならないよう工夫していく」と気を引き締め、金田湾朝市の岡本俊幸部会長も「この方法で良いのか、まだ手探り状態。密にならないことを第一に引き続き開催していきたい」と話した。

 いずれの朝市も毎週日曜に開催する。

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