「復興のひまわり」苗配布8年 コロナ禍でも震災忘れない

震災の記憶を伝えようと、無料配布されたヒマワリの苗=湯河原町宮上

 東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市ゆかりのヒマワリの苗を無料配布する活動を、神奈川県湯河原町土肥の梅原雄蔵さん(72)が8年間続けている。梅原さんは「来年は震災10年の節目だが風化しつつある。今、花を育てることを通じて被災地について考えるきっかけになれば」と話している。

 梅原さんは震災直後の2011年4月から石巻など東北の被災地を訪れ、がれきの撤去やワカメの収穫を手伝うなどボランティアを継続的に行っている。苗の配布は、同年9月にボランティア仲間が同市で育てたヒマワリの種を梅原さんが持ち帰ったことがきっかけ。翌12年から自宅の畑などで育て始め、「復興のひまわり」と名付けた苗を自宅前で配ったり、小中学校に寄贈したりしてきた。

 今年の苗の配布は、新型コロナウイルスの感染防止のため、6、7の両日、同町宮上のボックスショップ「ちきゅうや」の店頭に苗を並べ、無人配布で実施。これまでは苗を手渡しする時に震災を語り継いできたが、今回は梅原さんが撮影した被災地の写真27枚を展示し、「震災の記憶を忘れないで」との思いを込めた。

 苗を持ち帰った女性(80)は「石巻は自分にとっても思い出の場所」と話し、「花が咲くのが楽しみ」と笑顔を見せた。

 梅原さんは、16~17日も自宅前で計100ポットを無料配布する。問い合わせは、梅原さん電話090(4133)2929。

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