西武松坂の開幕2軍は非常事態か、想定通りか? 西口投手Cは期待「そう遠くない」

降板後、捕手の森と言葉をかわす西武・松坂大輔(左)【写真:宮脇広久】

「状態を上げるための注射」のはずが、西武辻監督の言葉は「故障明け」に…

西武に14年ぶりに復帰した松坂大輔投手の開幕2軍スタートが決まった。7日にメットライフドームで行われた中日との練習試合に3番手で登板し、1回無安打1四球無失点に抑えた。しかし辻発彦監督は試合後、「ここで1イニングしか投げられないくらいでは、開幕は無理」と明言。「まだまだですよ。故障明けで投げられるかどうかというところで、1イニングとはいえ投げられたので、これからまた下(2軍)でローテーションに入れるようになれば、上(1軍)で投げる機会が出てくると思う」と語った。

キャンプ、オープン戦を順調に過ごした松坂は、当初の予定通り3月20日に公式戦が開幕していれば、同22日の3戦目に先発することが決まっていた。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が延期になると、3月下旬に右膝のメンテナンスのために注射を打ち、まだチームの全体練習が行われていた時期に別メニュー調整となった。球団関係者は「予定通り開幕していれば、やらずに済ましていたはずの、その程度の注射ですよ。せっかく開幕まで時間ができたので、より状態を上げようということ」と説明していた。

ところが、この日辻監督は松坂の現状を「故障明け」と表現した。右膝の状態は意外に悪く、注射も期待したほどの効果がなかったということなのだろう。

辻監督は1軍昇格の条件として「下(2軍)で100球近く投げられないと、上の先発は考えられない。スピードではなく、球のキレや腕を振れるかというところ。現状は悪くはないが、いい時の松坂ではない」と語った。

西武の先発ローテ“確定組”もここまでは満足いく結果を残せていない

松坂が脱落した西武の開幕ローテ争いの現状は、心強いかと言われれば疑問が残る。ニール、高橋光、松本、今井、それに進境著しいアンダースローの與座の5人が確定。しかし、唯一の先発左腕と期待されていた新外国人ノリンは、ここにきて2軍落ち。西口投手コーチは「ちょっと疲れが出てるのかな、という感じ。開幕ローテは難しいかな。6人目の先発? それは楽しみにしておいてください」と言葉を濁した。

“確定組”にしても、高橋光が今月2日の練習試合で5回9安打7失点の大炎上。ニールも5日に5回9安打5失点、松本も6日に5回8安打4失点と不安いっぱいだ。手薄な感は否めず、逆に言えば、松坂が調子を上げてくれば、チャンスはいくらでも巡ってくる。

もともと、昨年の春季キャンプで右肩を痛め、シーズンの1軍登板がわずか2試合に終わった39歳の松坂が、今季1年を通して先発ローテで回れると考えていたチーム関係者は少ない。まずは、現役続行の危機につながるような大きなケガを避けること。その上で、トータルでいかに状態のいい期間を長く作れるかが課題だったのだ。

西口コーチは「(1軍昇格のメドは)時期的にいつと決めてはいない。ケガをされるのが1番怖い。万全のコンディションでマウンドに立ってほしい」と言いつつ、「状態は徐々に上がってきている。1イニングとはいえ投げられた。このまま上げていってもらえれば、(1軍の公式戦で)このドームのマウンドに立つ日も、そう遠くないんじゃないかととらえています」と悲観していない。

「これから投球回を増やしていく中で色々な感覚を取り戻していきたいです」と松坂。怪物伝説の復活を期待し、1日でも早く1軍で投げる姿を見たがっているファンがたくさんいることにも、変わりはない。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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