開店休業の終わり

 店を開けていてもお客が来ない、出社はしているけど取引先を回ることができない…さまざまな人々が“開店休業”を余儀なくされたこの春。本紙の運動部員たちもそんな状態を長く強いられてきた。全国も地方も大会は軒並み中止、学校の部活動は休校でストップ…▲そんな日々がようやく終わろうとしている。「ゲームを取材して記事を書く“試合勘”がなかなか戻りませんね」とぼやく記者の口調が弾む。高校生たちの交流試合や県高総体の代替イベントが始まった▲「今できることを」と語るアスリートのインタビューも“懐かしの名勝負”も興味深く読んだが、スポーツ面にはやっぱり躍動感いっぱいの競技写真が似合う。紙面に載せきれなかった名シーンはHPの写真館でどうぞ▲さて、こちらの高校生も開店休業が終わった。将棋の藤井聡太七段。愛知県在住の17歳は、緊急事態宣言に伴う移動の制限で東京にも大阪にも行けず、4月10日を最後に52日間、実戦から遠ざかっていた▲待ち焦がれた対局再開。中1日の強行日程で準決勝、決勝を戦った棋聖戦挑戦者決定トーナメントで難敵を立て続けにねじ伏せ、きょう5番勝負の第1局に臨む▲コロナの重苦しさがなかなか晴れない日々の紙面。史上最年少の挑戦者は、どんな風を吹かせてくれるか。(智)

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