住宅ローン審査に必要な住民票は現住所のもの?移動するタイミングはいつ?

住宅ローンの審査に必要な書類

住宅ローンを組むためには「事前審査」と「本審査」の2回の審査を受ける必要があります。金融機関によりますが、事前審査は簡単な書類をもとに概ね3~4日程度で、長くても1週間以内に結果が出るところが多いようです。インターネットでの事前審査の申し込みを受け付けている金融機関では、必要項目を入力するだけで特に提出書類がないというところもあります。事前審査に通過すると次は本審査。事前審査よりも詳しい資料をもとに、申込者に返済能力があるかどうか、融資可能金額などを細かくチェックされます。審査を受けるにはまず、必要書類を用意するところからはじめますが、多くの書類は本審査のときに使用すると考えてよいでしょう。書類に不備があると審査が遅れてしまいますので、早めに手配することをおすすめします。

本人確認書類

運転免許証・健康保険証。白紙でも裏面も忘れずにコピーしましょう。

収入に関する書類

会社員:源泉徴収票のコピー(1年分)手元になければ、会社から再発行してもらいましょう。

個人事業主:確定申告書コピー(直近3期分)
自営業者・会社役員:決算書のコピー(直近3期分)、源泉徴収票のコピー(直近3期分)

物件に関する書類

建築でなく売買の場合は「売買契約書」、「重要事項説明書」、建築の場合は「建築工事請負契約書」、購入を希望する物件のパンフレットやチラシ、間取り図などが分かる資料など

団体信用生命保険に加入する場合に必要な書類

団体信用生命保険とは、ローンの契約者が返済中に亡くなってしまうなどで返済が不可能になった場合に残額を肩代わりしてもらえる住宅ローン専用の保険。住宅ローンとセットで契約することがほとんどですが、健康告知が必要なため、審査には「告知書」を提出します。過去の病歴、治療した(している)時期や内容、服用している薬などを指定のフォーマットに記入します。基本的にはこの告知書に記入するだけで受け付けてくれるところが多いのですが、金融機関によっては健康診断の結果の提出を求めるところもあります。

住宅ローンの審査に必要な必要書類は金融機関によって異なります。各金融機関の公式サイトにも必要書類のリストが記載されていますので、候補になっている金融機関があれば事前にチェックしておくとよいでしょう。

住宅ローンの契約に必要な書類

提出書類に不備がなければおよそ1週間~10日程度で正式に融資が承認されるという流れになります。本審査を通過したら「住宅ローンの契約」、正式には「金銭消費貸借契約兼抵当権設定契約」へと進みます。契約者と金融機関が、借入金額や返済年数、融資の実行日や金利など各種条件を確認して交わす契約。ここでは不動産会社ではなく、本人が出向いて契約を進めることになります。ここで必要な書類について確認しましょう。

まずは「本人確認書類」。運転免許証、パスポート・マイナンバーカードなど、顔写真入りの公的書類です。次に「実印」。印鑑登録が済んでいる実印を用意します。合わせて「印鑑登録証明書」も準備しましょう。そして「住民票の写し」。発行後3ヶ月以内のもので、家族全員記載あり、続柄記載あり、本籍地記載なし、個人番号の記載なしのものを市町村の役所で取得してください。

印鑑登録証明書と住民票の写しを取得する際は、契約と登記の住所がどこかによって内容・枚数が異なります。契約と登記を現住所で行うという場合は現住所のものを2通、契約は現住所で登記は新住所で行うという場合は、現住所のもの1通(契約書用)と新住所のもの2通(登記用と金融機関提出用)を用意します。

その他、住宅ローン借り入れ申込書、個人情報に関する同意書、連帯保証人がいる場合には連帯保証人の印鑑証明書、団体信用生命保険の申込書など、いずれも金融機関によって異なりますので、融資を受ける金融機関に確認してください。融資を受けるためには、該当金融機関に契約者の口座があることが前提となりますので、口座を持っていない場合には、口座開設の申込もしておきましょう。

住宅ローンの契約に用意する住民票は現住所のものを

住宅ローンの審査をクリアし、契約に至ったとき住民票の提出を求められますが、基本的には転居前のものを提出することになります。

まだ引っ越していない住所に住民票を移すのは法律違反

引っ越しを済ませていないにもかかわらず住民票を移すことは法律で禁止されている行為。5万円以下の罰金が科されますので要注意です。金融機関によっては新住所の住民票の提出を求めてくるケースもあるので注意しましょう。多くの役所では引っ越しが済んでいるどうかまで追及はしないので、引っ越しが済んでいなくても「引っ越した」とウソをついて住民票を移すことはできてしまいます。実際にやっている人もいるようですが、ウソだとバレたときは罰則が科されることを知っておきましょう。

住所変更登記は自分でも申請可能

現住所で登記を行ったあと、新住所に引っ越した際は、新しい住民票を移動させたタイミングで「住所変更登記」を行う必要があります。司法書士に依頼するときの費用の相場は、1万〜2万円ほどですが、自分で申請することも可能です。

自分で行う場合はまず、管轄する登記所で現在の不動産登記簿を入手します。郵送やインターネットでも申請できます。次にこの登記簿に記載されている住所から、新住所に変更することがわかる証明書(住民票や戸籍)を用意。書類が揃ったら、登記証明書を入手しましょう。インターネットで、登記証明書をダウンロードできます。登記証明書に記入し、登記所へ持参するか郵送すれば手続きは完了です。

住所変更登記は義務ではなく、期限もありません。手続きをしなくても罰則などはありませんが、永遠に手続きせずに放置しているのもNG。住民票や戸籍で現住所を証明することができなくなってしまいます。引っ越し後に落ち着いたらできれば早めに手続きをしておくことをおすすめします。

金融機関が新住所の住民票を求めることも、その理由とは?

登記の手間や費用を削減できる

本来は、住宅ローンの契約を終えて家の引き渡しをされた後に転居届を出すという流れになり、抵当権の設定と登記の申請を、現住所と新住所で2回行わなければなりません。住宅を購入する前であれば住民票は現住所にあります。それを承知のうえで、一部の金融機関からは「新住所を記載した住民票」を提出するよう求められる場合があります。それは、この2回の手続きの手間と費用を1回にして削減するのが目的。金融機関にとっても契約者にとってもメリットがあります。とはいえ、転居前に新住所に住民票を移すのは違反行為なので、トラブルのもと。現住所の住民票で手続きを進めてもらえるよう金融機関にかけあってみましょう。

登録免許税が安くなる

住宅購入するときには「所有権移転登記」「抵当権設定登記」など、いくつかの登記の手続きが必要になります。この登記を行うときに発生するのが登録免許税。一定の条件を満たしていれば登録免許税の軽減措置を受けることができます。この軽減措置を受けるためには、新住所の管轄である市町村が発行する「住宅用家屋証明書」が必要。この一連の手続きに新住所の住民票が必要になるわけです。自治体によっては、現住所の住民票でも住宅用家屋証明書を発行してくれるところもあるので、問い合わせてみるといいでしょう。

住民票を移すタイミングと注意点

転居から14日以内に手続きをしよう

住民票の異動は、転居してから14日以内に手続きをしなければならないという決まりがあります。ちなみに期限を過ぎてしまった場合、罰金などの罰則が科せられる可能性があるので注意しましょう。

代理人に依頼する手も

引っ越しをすると、住所変更にともなう各種手続きだけでなく、荷物の整理などで時間が確保できないという場合が多いはず。住民票の異動は基本的には世帯主が行うのですが、やむを得ない場合は代理人に依頼することもできます。

住民票を移すのに必要な書類

同じ市区町村での転居

同じ市区町村内への転居であれば、「転入届」を提出するだけでOK。
必要な書類は、
・本人確認書類
・印鑑
・国民健康保険証、高齢者医療受給者証、乳幼児医療証など(該当する人のみ)

異なる市区町村での転居

市区町村を超えての転居であれば、はじめに転居前の市区町村に「転出届」を提出し、「転出証明書」を入手します。その「転出証明書」を新住所の市区町村に持っていき、「転入届」とともに提出します。これで住所変更の完了です。
必要な書類は、
・本人確認書類
・印鑑
・国民健康保険証、高齢者医療受給者証、乳幼児医療証など
・転出証明書(転居前の市区町村で入手)

代理人に手続きを依頼する場合

・委任状(申請者本人直筆サインと押印がされたもの。フォーマットは各自治体で用意している場合も)
・代理人の印鑑(自治体によっては不要な場合も)
・代理人の本人確認書類
・本人確認書類

本人確認書類として使用できるのは以下の書類です。
・運転免許証
・マイナンバーカード
・パスポート
・住民基本台帳

健康保険証や年金手帳も使用できますが、顔写真のないものを使うときは2種類の書類を提出する必要があります。

「発行期限」も事前に確認

住宅ローンの手続きに必要な書類についてご紹介してきました。住宅ローンを検討してから契約に至るまでは、「事前審査」→「正式申込」→「契約」という流れ。それぞれの段階で必要な書類を抜けもれなく準備することで、スムーズに手続きを進めることができます。税務署や市区町村で発行される書類については、余裕をもって事前に準備しておきたいところ。住民票など、「発効後3か月以内のもの」など発行期限を設けている書類もあるので、注意が必要です。同じ書類が複数枚必要となる場合もありますし、複数の金融機関で住宅ローンを組むときは、それぞれの金融機関によって必要書類や枚数が異なります。必ず事前に確認しておくことをおすすめします。

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