【Bレコード】OB編<11>ロバート・ローズ 黄金期の最強助っ人、1試合10打点

球団記録の1試合10打点をマークするなど黄金時代を支えたローズ=1999年、横浜

 球団史上最強の助っ人は誰か。1998年の熱狂を知る向きからは、ロバート・ローズの名が挙がることも少なくないだろう。

 「とても興奮している。最高の夜だよ」。98年10月26日、日本一の美酒に、主砲は酔いしれた。一発を秘めながらも、広角に長打を飛ばすヒットメーカー。波とうのごとく押し寄せるマシンガン打線の中核だった。

 93年の来日当初は守備面がフォーカスされていたが、8年間で打率3割を切ったのは94年のみ。通算167本塁打、808打点と打ちまくった。

 ♪カモンローズビクトリー―。背番号23が打席に立てば、スタンドは揺れた。97年にローズを4番に据えたマシンガン打線が完成すると、ファンが焦がれた躍進劇はここから始まる。

 98年、38年ぶりの日本一。シーズン終盤、チームの硬さを振り払ったのは、その勝負強さだった。

 翌年も6月に史上初となる3度目のサイクル安打を達成し、7月には1試合10打点をマーク。192安打、3割6分9厘、153打点と3部門でタイトルをつかみ、バラ色の時代はまだ続くと誰もが期待した。

 だが2000年、2年連続の最多安打と6度目のベストナインを置き土産に退団が決まった。華々しい活躍の一方、高額年俸が残留への大きな障壁となっていた。

 あれから20年。他球団を震撼(しんかん)させた背番号は今季、新加入のオースティンが背負う。オープン戦で4発放った右の大砲に漂う「最強」の系譜。予感はじわり、熱を帯びている。

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