『マイティ・ソー』シリーズ（2011年〜）のロキ役で知られるトム・ヒドルストンが主演をつとめたウィリアム・シェイクスピア作の悲劇『コリオレイナス（原題）』が、現在YouTubeにて限定無料配信中だ。
『コリオレイナス』は、2014年にイギリス・ロンドンのドンマー・ウエアハウスやロイヤル・オペラハウスで上演された舞台演劇。ヒドルストンがローマの将軍ケイアス・マーシアス（後のコリオレイナス） を演じ、『SHERLOCK（シャーロック）』（2010年〜）のマーク・ゲイティスや、『レ・ミゼラブル』（2012年）のハドリー・フレイザーらが出演。本配信は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、過去にナショナル・シアター・ライブ（NTLive）で公開された作品を毎週1作品ずつ1週間限定で無料配信する「ナショナル・シアター・アット・ホーム」という取り組みの一環として実施されている。
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5幕からなる本作のストーリーを簡単に説明するとこんな感じである。
紀元前ローマで執政官候補となった将軍コリオレイナスはプライドが高く、平民に媚を売れずさらにほか護民官の策略もありローマを追放されてしまう。昔の敵方であったオーフィディアス将軍の元へ駆けつけたコリオレイナスはオーフィディアスと共にローマに攻め入ることにするが……。
ヒドルストンは英Guardian誌のインタビューで、『コリオレイナス』がシェイクスピア作品で最も強烈に感じた作品であったことを明かしている。
『コリオレイナス（原題）』は難易度の高い作品なのに、なぜ難しい評価を受けてしまうのでしょうか？
『コリオレイナス』は容赦ないほど残忍で、野蛮で、真面目な作品だけど、だからこそ面白いんだ。シェイクスピアは舞台を古代ローマに設定した。ジュリアス・シーザーやマルクス・アントニウスとクレオパトラ、ローマ帝国など、私たちに馴染みのあるローマよりもはるかに古い時代が舞台だ。
この舞台では、都市国家が飢饉、戦争、暴虐という初期のローマというアイデンティティと格闘している。シェイクスピアは主人公のケイアス・マーシアス／コリオレイナスに、抑えきれない怒りの力がいかに自身を腐らせ、人間性を奪い最終的に破滅させるかをしめしている。
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マーシアスは、ハムレット、ロミオ、ジュリエットといったキャラクターよりも観客が共感するのも難しく、好きになるのも難しいキャラクターだという意見も読んだことがあるよ。でも、彼の頑固さと名誉の中には、傲慢さや軽蔑とならんで、ひねくれた誠実さと純粋さが共存してる。劇中に登場する詩は、シェイクスピアの他の作品に見られる優雅さ、美しさ、明快さ、魅力とは全く違った生々しいものだ。彼の喜劇に見られるような温かさや喜びは、『コリオレイナス』では見られない。しかし、ひたむきな真面目さと激しさこそが、この悲劇を魅力的なものにしていると思うよ。
『コリオレイナス』についてはどのくらい知っていましたか？
よくは知らなかったんだ。2011年9月のトロント映画祭で、レイフ・ファインズ監督による『コリオレイナス』の映画化作品『英雄の証明』（2011年）の初期上映を見るまではね。
キャラクターの力強さ、傲慢さ、政治的共鳴、母と息子の家族関係、ヴォルムニアとマーシアスなど、私が出会ったシェイクスピア作品の中で最も強烈で、心理的に複雑な絆を表現した作品だと感じたんだ。
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血まみれのシャワーシーンがありますが、その時の思い出を教えてください。
水がとても冷たかったことを覚えているよ。でも、そのシーンの前の20分間は、はしごを駆け上がったり、非常階段を降りたり、素早く着替えたり、剣で戦ったりしていて、肉体的にキツかったから、冷たい水が大いなる安らぎのように感じたよ。
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ロックダウン中は何を観て過ごしていますか？
90年代半ばのマイケル・ジョーダンとシカゴ・ブルズについてのドキュメンタリーシリーズ『マイケル・ジョーダン：ラストダンス』（2020年）を観て感動したし、刺激を受けたよ。ポール・メスカルとデイジー・エドガー＝ジョーンズ主演のTVドラマ『ノーマル・ピープル（原題）』も観たよ。あと、過去のテニスの試合を観ていた。どういうわけか、とても快適に感じられることに気づいたんだ。とりわけ、2014年のジョコビッチとフェデラーのウィンブルドンの決勝がね。あとは『ダーティ・ダンシング』（1987年）を観た。
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トムヒ版舞台『コリオレイナス』は現地時間2020年6月4日19:00～6月11日19:00まで配信1週間限定の配信とあり、要チェックの内容だ。貴重な舞台の本編は「ナショナル・シアター」の公式YouTubeから観れるのでチェックしよう！
