新型コロナ 長崎国際大が抗体検査を独自で実施 教職員ら全69人陰性 安東学長「検査や医療体制の強化を急ぐべきだ」と警鐘

「第2波に備え、検査や医療体制の強化を急ぐべきだ」と話す安東学長=佐世保市、長崎国際大

 長崎国際大(佐世保市)は、同大の教職員ら69人を対象に、新型コロナウイルスの感染歴の有無を調べる抗体検査を独自に実施したことを明らかにした。結果は全員陰性で抗体を持っていなかった。同大は「第2波の際に感染拡大する可能性がある。検査や医療体制の強化を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らす。
 同大の安東由喜雄学長=薬学部教授=の研究室が、米国企業が製造した簡易検査キットを購入して実施。5月25日~6月8日、教職員のうち、市内在住で、24~75歳の男女計69人から同意を得て検査した。
 抗体検査はウイルスそのものではなく、感染後に免疫反応で血中にできる抗体の有無を調べる。キットを使えば、微量の血液で数分で結果が判明する。医師の資格を持つ安東学長が全員から採血をした。
 抗体検査をめぐっては、厚労省が東京、宮城、大阪の3都府県で全体で1万人規模の調査を実施。爆発的に感染が広がった米ニューヨーク州では陽性率が高いとの結果も出ている。安東学長は「第1波で感染者が少なかった地域ほど、第2波では被害が深刻化する可能性がある」と指摘。インフルエンザと同時期に流行する恐れもあり「検査や治療を迅速に行える体制づくりが必要だ」と訴える。
 一方、長崎国際大は1日から対面授業を再開したのに合わせ、すべての学生と教職員計約2560人を対象に、ウェブ上で毎日体調を報告するよう求める管理システムを導入。▽平熱より1度以上高い熱がある▽全身に強いだるさ▽歯磨き粉や朝食の味を感じない-など9項目のうち一つでも該当する場合は学校を休むように指導している。
 安東学長は「命を守るために大学としてできる限りの取り組みをしたい」としている。

使用した簡易検査キット

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