スーパー・チューズデーは何が“スーパー”なの? リベラルの言い分 圧倒的にリベラル派が多く住む米西海岸から、トランプ大統領と共和党の政策に真っ向から反対する日系アメリカ人ジャーナリスト、マイク佐藤がお届けする「トランプを支持しない人たちの声」。今回は、アメリカ中が注目する「スーパー・チューズデー」の「何がそんなにスーパーなのか?」について。

トランプは再選へ向けて動き、民主党は候補者選び

今年のアメリカは大統領選の年。トランプ大統領は共和党を代表する候補者として再選を目指すが、民主党はトランプに対抗できる民主党代表候補者を選んでいる最中だ。そのため「民主党代表者を選ぶ各州の代議員たち(delegates)」を選ぶ予備選が各州で繰り広げられている。
民主党の代表になるためには、3,979人の各州代議員たちからノミネートされなければならない。各州の民主党によってルールは異なり、地元の政治会合(コーカス)が代議員を選ぶか、地元での投票で代議員が選ばれる。代議員たちは競い合う候補者を代表して7月に開催される民主党の全米党大会に参加し、そこで自分が推す候補者を投票する。

3月3日に民主党の行方がほぼ決まる?

来たる3月3日には、アメリカ50州のうちの14州と米領サモア、海外在住の民主党員が予選会(primary caucuses)と選挙によって1,357人の代議員が決まる。これは全代議員の38%に値する。3月3日以前には4州のみで(アイオワ州、ニューハンプシャー州、ネバダ州、サウルカロライナ州)予選会と選挙が開催され、155人の代議員が選ばれた。

「スーパー・チューズデー」は、たった1日で“スーパー”な人数の代議員を決める。この日に多くの代議員を集めた候補者は、7月の党大会までの間に極めて目立った存在感を提示できる。

とはいえ、このようにキャンペーンの前半で“スーパー”な存在感を見せることが必ずしも勝利に繋がるとはいえない。2016年の大統領選では、ヒラリー・クリントンは「スーパー・チューズデー」で486代議員、対抗馬だったバーニー・サンダースは321代議員を得て、ヒラリーは2位に明らかな差を見せつけて有利なポジションに立った。しかし、トランプ現大統領は「スーパー・チューズデー」ではたった256代議員しか獲得できず、2位だったテッド・クルーズの219代議員とほとんど数が変わらなかったが、大統領になった。

「スーパーチューズ・デー」の次は民主党候補者の決定

3月3日が過ぎると、候補者たちは残りの2,467人の代理人の獲得をめぐって直接対決に入る。4月中旬には合計3,000人の代理人が決まり、6月末までには全ての代理人が決定する。

もし、代議員たちが選んだ候補者が接戦の場合は、大統領選が行われる11月までの間に残された予備選は非常に重要になる。しかし、各州の代議員の人数は選挙だけではなく、様々な法則がある立法と議会の司法権によって決められる。その上、もし候補者が州の代理人たちの15%を勝ち取れなかった場合、その候補者の代議員たちはその州の上位2位の候補者へ加算されるため、今年のように多くの候補者が林立する民主党では、人気の少ない候補者にこれが起きるだろう。

民主党には、党を率いるリーダーたちと“スーパーデリゲイツ”(スーパー代議員)と呼ばれる自由投票で選ばれた代議員がいる。もし、1候補者がほとんどの代議員を獲得するか、民主党大会が開催された時点でノミネート候補が決まっていない場合には、党を率いるリーダーたちが会議で投票できるという決まりがある。

だから、3月3日の動向から目が離せないのである。「スーパー・チューズデー」は“スーパー”になりうる。しかし、今年の大統領選の民主党代表者を決めるまでの民主党内では様々な行動やドラマがたくさん起きることだろう。選挙に関する民主党情勢は今後もシェアーしていこうと思う。

2020年2月29日

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