「まぁ、ありがたいかな…」 西武辻監督が登録枠増の“特別ルール”に吐露した内情

西武・辻発彦監督【写真:荒川祐史】

不安な先発投手陣を、救援陣の数でアシスト

日本野球機構(NPB)と日本プロ野球選手会は、新型コロナウイルスの影響による今季の特別ルールとして、出場選手登録枠の拡大や延長10回打ち切りなどで合意。西武の辻発彦監督は10日、報道陣からこの件について問われると、「まぁ、ありがたいかな……」と吐露した。

12球団は出場選手(1軍)登録を29人から31人、ベンチ入りを25人から26人に拡大する方向で、外国人選手の1軍登録枠についても4人から5人に増やす(ベンチ入りは4人のまま)案が検討されているといわれる。辻監督は率直に「これまでの練習試合では、投球回数が少ない投手がいて、(公式戦開幕後に)先発投手がどこまで投げられるか不安な部分がある。その分、中継ぎ陣に厚みを出せればいい」と語った。

当初3月20日に予定されていた公式戦開幕は、最終的に今月19日に延期され、シーズン前のオープン戦・練習試合も3月下旬をもって休止。2か月以上のブランクを経て今月2日から再開されたが、例年に比べて開幕前の実戦登坂が少なく不安を抱えている投手が多い。

外国人登録枠増も待望

特に西武はもともと手薄な先発投手陣から、14年ぶりにチームに復帰した松坂が調整不足で脱落。貴重な左腕の新外国人ノリンも2軍落ちした。先発投手陣の不安を、リリーフ陣の数で補いたいところだ。

打線は3年連続パ・リーグトップのチーム打率を誇るだけに、なおさらだろう。「うちの場合、打線の方はケガ人が出ない限り、ある程度固定された選手で戦うことになるので、その分投手に厚み持たせたい」と辻監督はうなずいた。

さらに外国人の1軍登録枠が増えれば、西武にとってはチーム構成上、願ったりかなったり。現在チームには先発投手要員のニール、ノリン、リリーフのギャレット、野手のメヒア、スパンジェンバーグの計5人が在籍。1軍登録枠が5人に増えれば、ギャレット、メヒア、スパンジェンバーグを常時出場させながら、ニールとノリンを1軍登録を抹消することなく毎週先発させることも可能になる。

一方で、延長10回打ち切りには、「当然引き分けの試合が多くなる。昨年はうちだけ引き分けが少なくて、どっちに有利になるか微妙だった。まぁ、負けないようにやるしかないよ」(辻監督)と不安ものぞかせた。

確かに、昨季リーグ優勝を果たした西武だが、引き分けは1と極端に少なく(オリックスは7、ソフトバンクと日本ハムは5、楽天とロッテは4)、引き分けの多い他球団が1つの勝利で意外に大きく勝率を上げる脅威にさらされた。果たして今季限りの特別ルールを、自軍に有利に活用できるチームはどこなのか。見ものである。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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