のぼり無料提供が評判に 「山口屋染物店」店主 前田孝弘さん(67)=島原市弁天町1丁目=

「島原の役に立ちたい」と話す前田さん=島原市弁天町1丁目、山口屋染物店

 「持ち帰りできるとすぐ分かる」「目立つデザインがいい」-。のぼりを利用する市内の飲食店からの声にうれしさを感じている。
 1910(明治43)年創業。節句ののぼりやのれんなど染め物を取り扱う「山口屋染物店」(島原市弁天町1丁目)が5月始めた「お持ち帰りのぼり」の配布。大きさは縦180センチ、横50センチ。赤地に白い文字で「お持ち帰りできます」というシンプルさが売りだ。
 新型コロナウイルス対策として、テークアウトを始めた地元店舗の支援につながればと、数量限定で製作し無料提供している。「地元密着110年。少しでも島原の役に立ちたい」との思いから始めた応援企画は、評判を呼び約50枚が市内ではためいている。「家庭で楽しむ店の味は、明日への活力になる」
 新型コロナの影響が島原の経済にも影を落とす中、イベントや祭りの中止が相次ぎ同店の仕事も激減したという。「今頑張らないと先はない。地元の皆さんと一緒に踏ん張りたい」
 依然として外出自粛の動きが残り、外食の需要低迷は続いている。「こののぼりが傷んで廃棄される時には、以前のような日常が戻ってほしい」

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