mtes Neural Networks、AIカメラを活用して人の転倒を検知する「ヤモリン転倒検知システム」を開発

多くの高齢者が入居する介護や福祉施設では、少子高齢化のなかで介護士などの人手不足が深刻化するなかで入居する高齢者の方々の転倒事故などへの対応力が低下している。また医療や介護施設においては、新型コロナウイルスの集団感染が発生し人との接触を制限するなかで日常業務を遂行しなくてはならない。AI・IoT技術開発のmtes Neural Networks株式会社は、AIカメラを活用して人の転倒を検知する「ヤモリン転倒検知システム」を開発した。また、株式会社関東サンガの有料老人ホーム「あきる野翔裕館」にAIカメラ4台を導入して実証試験を開始した。同システムは、画像分析機能を備えたAIカメラが差分分析と重心ベクトルで人の動き(動画)をスクリーニングした後、エッジAIが組み込まれたポーズドクターが半径10メートル、約120度の範囲で転倒を検知し、骨格の動きで転倒時の姿勢を評価する。そして、ポーズドクターでスクリーニングした映像だけを端末に送信しLINEやSlackなどにプッシュ通知でアラートを配信する。撮影された動画は常に20秒間に録画される。

転倒検知(Dual検知とポーズドクター)についてまた、同システムは動画(Flip Video)・静⽌画の⾃動記録と閲覧が迅速に⾏えるWebサービスを提供することができるほか、クラウドサーバーは基本的に使⽤しないため、運⽤コストを削減できる。さらに、同システムを活用する際はAIカメラ(ネット接続)を設置するだけで導入可能で、緊急ランプや緊急ボタン、各種センサー(温度・湿度、ドア開閉など)、サーモグラフィーカメラなどの追加導⼊が可能だ。今回の実証試験について、あきる野翔裕館の浅香誠一郎氏は「当施設では担当者がインカムを利用してサービスを提供しています。今回のヤモリン転倒検知システムの通知を端末で受けた際には、インカムで連絡して近くにいる担当者が様子を見に行ったりする使い方ができます」と述べている。続けて「またこのシステムをケアマネジャーと共有すれば、施設内の様子を遠隔で確認してもらうこともできます。施設内ではベッドに寝ている方が一番転倒のリスクがあり、共有スペースだけでなく個室にも使い方を広げていきたいと思います」と述べた。同システムを活用することで、医療や介護施設などで起きる高齢者の転倒事故を迅速に検知することが可能となり、慢性化する人手不足やコロナ禍による対人接触の制限などで不安視される現場崩壊防止に貢献する。なお、価格はAIカメラ1台あたり月額2500円を予定しており、初年度に3万台の導入を目指すとした。

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